
展開傾斜型競馬予想part.13:2025オークス 展望
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出走馬の指数に対し、展開に応じてより力を発揮できる馬を探していく競馬予想。従来の「展開予想」をより論理的に解説するような記事を目指していきます。
今回はオークスの展望となります。まずは、登録馬19頭(回避を表明しているルージュソリテールは除外)の全レース指数一覧表をご覧ください。なお、逃げ(もしくは4コーナーを先頭)で回って来たレースについては、新馬/未勝利を黄色・1勝クラス以上を水色でハイライトしています。

【指数】:各競馬場のコース、施行距離によってそれぞれ設けている基準タイム(古馬2勝クラスを勝利する馬で100)よりどれだけ速く/遅く走ったかを数値化したもの。レース当日の馬場差や風の影響度などで基準タイムを補正し算出しています。指数差1は1600m換算で0.1秒差となり、施行距離が長くなるほどタイム差も広がり、逆に短くなるほど短くなります。斤量差は0.5㎏で指数差1の補正。古馬は58㎏(牝馬56㎏)、3歳は57㎏(牝馬55㎏)が基準。
「追い上げ度」という指標ですが、そのレースにおける後半1000mの個別ラップタイムを【ラスト1000m〜600m区間(L5-L3)】と【ラスト600m〜ゴールまで(L3-0)】に分け、L5-L3タイムを1.5倍し3Fタイムに補正した上で、(L3-0)/(L5-L3)として比重をパーセンテージ化したものになります。簡単に言うと、ラスト1000mをどういう比重で走ったか、という数値であり、これが低ければ低いほど、上がり3Fに重きを置いたスパートをしており、100%であれば、後半1000mを同じペースで走り続けているという事。
指数上ではエンブロイダリーの桜花賞がトップ。6着のチェルビアットが(展開も向いたとはいえ)NHKマイルカップでも差の無い3着に好走し、メンバーレベルはかなり高かった1戦だと思います。当然その上位入線馬4頭が指数上位でもあるのですが、4頭とも桜花賞以外のレースでも上位にランクインしており、上位8例を独占しています。この8例間の指数差は11で、これは2400mカテゴリにおける1.65秒差に相当します。カムニャックの前走からのレース間隔は中3週で、この1.65秒差を埋める成長曲線はほぼ確実に描けません。桜花賞の指数通りにエンブロイダリーやアルマヴェローチェが走るとなれば他馬が逆転するのは不可能に近いです。また、上位例4頭は同程度の指数を他馬よりも速い段階で出している点からも有力で、後述の展開面からも、この4頭で決まる確率がかなり高いレースだと推察しています。
指数トップのエンブロイダリーは、クイーンC時点で既にステレンボッシュの2024桜花賞と同程度の指数を叩き出しており、桜花賞でもキッチリ打点を上げての勝利。リバティアイランドの2023桜花賞が109、デアリングタクトの2020桜花賞が108、アーモンドアイの2019桜花賞が111と三冠牝馬級のパフォーマンスを見せています。普通ならぶっち切る内容でしたが、僅差での勝利である以上牝馬三冠が確実視される1頭ではないと見ています。桜花賞は中盤が緩む形で脚を溜められていましたし、一概に距離延長が悪い方面に出るとは思いません。桜花賞では映像の角度の問題でアルマヴェローチェに差を詰められているように見えますが、ラスト1F区間のラップはこちらの方が速く、先行した僚馬をジワジワと差し切るような形。オークスで良い方面に出るのは寧ろこちらかと思います。
アルマヴェローチェはナミュールと同一のニックスで、馬体も大きく出ている事からも、恐らく純マイラーとして出ている可能性が高いです。桜花賞は仕掛けのタイミングの都合ではありますがラスト1Fの減速率はアルマヴェローチェ以上となっており、単に上がり最速というだけでエンブロイダリーより上に挙げるべきではないかと思います。流れたペースばかり経験してきた中の桜花賞でしっかりと脚を溜められた点はプラスに感じますが、前走の内容から考えても、距離が伸びると差は更に顕著になる気がします。指数上は二番手ですが、逆転可能性は他2頭より低いです。
リンクスティップは指数上昇が顕著で1戦ごとにしっかりと伸ばせています。桜花賞は出遅れて後方からのケイバでしたが、寧ろ末脚を活かす事ができた分良かったのではないでしょうか。やや急激に追われたため、捲る脚は目を見張るものがありましたが、最後の減速はかなり大きめ。こちらは距離延長が寧ろ歓迎に映ると思います。手脚が細く燃費自体は良い走りをする馬で、クリスマスパレードと似た純CT型キタサンブラック産駒だと思います。ただ、これ以上の急成長というのは期待しづらい所もあります。少なくともエンブロイダリーやアルマヴェローチェとは同レベルの成長曲線な訳なので、キャリア4戦を考えてもそろそろ現段階の天井付近。
桜花賞では着差を付けられて負けたエリカエクスプレスですが、やはり2戦目で指数値104というのは非常に高く評価できるポイント。好発もあり逃げる形になった桜花賞はキレ負けという内容で、距離も流石に短かったです。母母DialafaraはステイヤーのTower of Londonを輩出しており、本馬の父はTT型ステイヤーのエピファネイア、やはり適距離は2200m以上のレースになると思います。追走力はエンブロイダリーと同格と評価しており、父同様、2400mの力押しがいかにも合うタイプ。超万能型に勝つのはこういう特化タイプだと思いますので、個人的にエンブロイダリーを負かす可能性で言えばこの馬が最も高いと見ています。
優劣等は述べていきましたが、この4頭であれば十分勝利圏内かと思います。後は展開の部分と当日のコンディションが勝負の分かれ道。
続いて、先の指数一覧表を追い上げ度順に並び替えたものをご覧ください。なお、1400m以下のレースについては追い上げ度を算出していませんのでご了承ください。

逃げが想定される馬は黄色、ないし水色でハイライトされた馬になりますが、桜花賞で逃げている点からもエリカエクスプレスが逃げるかと思います。他に主張する馬も居ないですし。エリカエクスプレスは前傾率98%の高負荷な5Fスパートをする馬で、何なら前半から速いため、他馬にとっては追い掛けるだけで苦しいラップ構成。追走力で同格なのはエンブロイダリーぐらいで、豊富なスタミナで肉を切らせて骨を断つような逃げが打てる馬になりますから、2400mカテゴリでこの馬を先行して追走すればほぼ全馬が失速します。とはいえ、レースキャリアはメンバー中で最も浅く、オーバーペースになれば当然この馬も失速するので、戸崎騎手のエスコートに期待です。
エンブロイダリーは自身の前傾率が100%超えで勝利しており、その一方で前傾率が最下位の新馬戦でも2着に好走しています。要するに、ロングスパート戦でも瞬発力勝負でも良績を残せる圧倒的なバイタリティを有しているという事。正直ここまで振れ幅のある走りができる馬はリバティアイランドぐらい。リバティアイランドは新馬戦で前傾率82.7%、阪神JFで前傾率102.5%と別格の数字ですが、この馬も負けず劣らず。桜花賞前は完成度の高さを評価していましたが、本領の部分はまだ出しきれていないのかもしれません。負けたレースは追い上げ度が低い訳ですからね。
アルマヴェローチェはエンブロイダリー以上ではないものの、追い上げの有無にかかわらず好走している万能型。ただ、札幌2歳Sではハナ差+牡馬と同斤量を加味しても負けている訳で、そういう点では追い上げない方が良さそうに見えなくもないです。リンクスティップは全レースでコーナー通過順位を上げているように、前傾率もそれなりに高いです。ただ、エリカエクスプレスはもとよりですが、エンブロイダリーやアルマヴェローチェよりは追い上げの強度が高くないというのは気になる点。微差ですけどね。桜花賞も最後は失速していましたから、先行して直線まで我慢する形が向くかと思います。差しに徹するとラストの脚色に響きそう。
追い上げ度という観点からも、何だかんだこの4頭は有力で、内1頭がペースメイカーである点からも、他馬が割り込むには後半5Fトータルで速く走れる(もしくは減速しない)スタミナ力が求められると思います。
2025-05-22 17:00追記
ここで、いま一度指数について分析しようかと思います。上記の4頭を除き、指数ランクでは9位〜11位の3頭が同じ指数値100で占めていますが、その指数価値は結構明確な差が出ています。カムニャック、パラディレーヌ、エストゥペンダについて価値基準を基にそれぞれ述べていきます。
まずは開催時期について。パラディレーヌとエストゥペンダは3歳2月に、カムニャックは3歳4月に出した指数。一般的に、日本競馬におけるサラブレッドとしての能力完成は、4歳秋〜5歳にかけてピークを迎えます。早熟や晩成はあれど、3歳限定戦が終わる10月後半までにピークに達するというのは考えづらいです。そのため、ことクラシックレースにおいては、より早い段階で出した指数の方が圧倒的に価値は高いです。カムニャックのフローラSは確かにスローペースだった(指数を伸ばしづらかった)点は留意すべきかと思いますが、キャリア内で高いレベルの追走経験が無く、パフォーマンスを上げるには追走レベルを上げなければならない特性上、着差こそ付けていますが現時点でのベストだと推測しています。上昇があるとしてもそこまで高くはないかと思いますし、上位4頭に割り込むだけの数字は出せません。加えて、フローラS当日はホームストレッチがやや追い風で、レース内容も上がり3F勝負だった点を加味しても、レース単位であまり高く評価できないと思っています。
続いてレース内容について。同時期に同程度の指数を出したパラディレーヌとエストゥペンダですが、着差を付けて勝った前者とその逆となった後者に分けられます。具体例を挙げるとキリが無いのですが、余程の僅差でない限り、圧勝したレースの指数の方が負けた指数より価値は高いです。競走馬は相手より先にゴールする事を教育され、追い抜く・追い抜かれない事を至上命題として走ります。ただし、多くの競走馬は発走時刻もゴール地点も分かりません。「掛かる」というのはその弊害に過ぎず、並走状態で相手を追い抜こうとする気持ちが先行するからこそ余力を消費するのです。「ソラ」に関しても同様で、相手を抜き去ったがゆえに気を抜いて走ってしまうという訳です。圧勝するというのは鞍上のアクションにも現れていて、例えば2023年ジャパンカップのイクイノックスにおいては、ルメール騎手がゴール前でブレーキングをしていました。要するに、着差を付けて勝った馬というのは、最後まで全力でファイトした上で負けた馬と比較して、走破タイムを縮められる(指数を上げられる)余地があると見ています。
先の3頭の比較だと、パラディレーヌ>エストゥペンダ≧カムニャックという評価です。パラディレーヌはこの世代でもかなり高く評価している馬で、高い追走経験も有しています。加速力はやや高いので直線まで我慢できるかどうかは鍵ですが、キャリアハイとなったつばき賞の内容からも、上位に匹敵するパフォーマンスを出せてもおかしくないと思います。エストゥペンダは抽選に通れば要注目。高指数を出したレースはいずれも負けているとはいえ、追走経験としては鍛えられています。もう一段階上昇が見込める馬だと思いますし、しれっと3着に割り込む分には。カムニャック以上には高く評価していますが、この2頭はやや同格に近い評価です。
展開的な注目馬として挙げたいのはタガノアビー。前走の矢車賞は後半1000mの火力が高く、2000m以上のカテゴリではトップのタイムを計時しています。3F火力もエンブロイダリーの1勝クラスを抜いてトップの爆発力。出脚が抜群に遅いためほぼ確実に最後方からになるのは寧ろ好都合。桜花賞上位4頭があまりにも強いためマトモな競馬では話になりませんから。追い上げ度は高くありませんから直線まで息を潜めて差し込む形だと面白いんじゃないかと思います。指数は絶望的に悪いのでどスローだと有難いんですが、上位馬がパフォーマンスを落として割り込む形であれば面白い1頭です。
【指数的な注目馬】
・エンブロイダリー
・アルマヴェローチェ
・リンクスティップ
・エリカエクスプレス
・パラディレーヌ
・エンブロイダリー
・アルマヴェローチェ
・リンクスティップ
・エリカエクスプレス
・パラディレーヌ
【展開的な注目馬】
・エンブロイダリー
・アルマヴェローチェ
・リンクスティップ
・エリカエクスプレス
・タガノアビー
・エンブロイダリー
・アルマヴェローチェ
・リンクスティップ
・エリカエクスプレス
・タガノアビー
今回の更新はここまで。次回以降は指数的な注目馬1頭、展開的な注目馬1頭の計2頭(被りの場合1頭)も含め他馬の見解を述べられたらと思います。
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