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2022有馬記念 回顧

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Mahmoud
2022/12/28 16:28
中山芝2500mフルゲートでの馬番成績を下記の通りTweetしました。
この施行条件での外枠不利というのは誰もがイメージできる通りだと思いますが、16番枠から実際に3頭勝っているわけで、その不利益という状況は必ず発生する物ではありません。ただ、今回の82頭、とりわけ16番枠からの発走となったディープボンドは外枠不利の典型例の事象となってしまいました。エフフォーリアとともに昨年と今年を比較すると、その不利な状況がよくわかるかと思います。1周目4コーナーをクリアする頃となる前半500mのラップタイムは以下の通りです。なお、2022年の値は暫定値となります。
2021
ディープボンド    31.13
エフフォーリア    31.58
2022
ディープボンド    30.4
エフフォーリア    30.7
この2頭の間隔は今年の方が少なくなっています。エフフォーリアは昨年が10番枠、今年が7番枠でしたが1周目4コーナーでのコース取りはさほど大差はありません。ディープボンドは昨年5番枠からの発走でした。それではこの前半500mでの2頭の完歩ピッチの比較をご覧ください。
2頭とも昨年より速いラップタイムをマークしている以上、ピッチを速めて走っていたのは当然ですが、前半300mまでの昨年比は2頭異なります。ディープボンドは今年相当脚をよく回転させてスタートダッシュしています。それでいてエフフォーリアとの差は昨年より縮まっていて労力が反映されていない形。前半200m手前のコーナー部分に差し掛かる段階でディープボンドの内側には5頭いる状態。距離ロスがかなりの物となる上、内の馬との併走状態となればディープボンドは内の馬よりスピードを上げて走るのを余儀なくされてしまいました。ディープボンドの前半300mのラップは暫定値で18.4。昨年なら2番手タイトルホルダーのやや前に位置するくらいです。それでも今年はこんな並びでの追走。各馬の先行意識そして並び順で状況は大きく変わっていきますね。それではディープボンドの前後半の完歩ピッチの推移を昨年と比べてみたいと思います。
前半500m以降は昨年よりもピッチを遅くして追走。序盤での過剰な負荷を取り戻せる可能性は多少あったとは思うものの、後半のペースアップ(ピッチが速くなる)のタイミングは昨年より早く、いつもの強靭な粘り腰を発揮することなくゴールイン。鞍上川田将雅騎手のコメントにありましたが輸送に時間が掛かった影響で状態が良くなったという側面もあったようですが、レース中最もスピードが上がるシーンでの負荷はかなり堪えたように感じます。15番枠ブレークアップともども、14番枠ボッケリーニを筆頭に数頭が位置取りを主張したのが非常にツラくなったことでしょう。
続いてはエフフォーリアについて。追走することすらままならず掲示板にも載れなかった大阪杯や宝塚記念とは違い、道中5番手辺りを追走し一応レースの体にはなっていました。今春の2戦とはレースの質が違うので当然でもあります。前半1000mのラップと完歩ピッチを過去走と比較してみましょう。
2021天皇賞・秋  61.08
2021有馬記念     61.60
2022大阪杯         60.13
2022宝塚記念     59.46
2022有馬記念     62.00
この5レースでの前半のペースが速いのは『2022大阪杯・2022宝塚記念』、遅いのは『2021天皇賞・秋・2021有馬記念・2022有馬記念』で、馬場差やコース形態を踏まえると2021天皇賞・秋は特に遅いです。今回の有馬記念ではテンの100mでしっかりダッシュさせていたもののすぐに緩め、前半900mでの累計完歩ピッチでは昨年の有馬記念より遅くなっていたからこそ好位置に付けてレースを行えたわけで、それは分析記事の通りです。今回「前進気勢」というフレーズを何度か耳にしましたが、今年の大阪杯と宝塚記念はエフフォーリアに見合わない速い流れだったのが全て。では昨年と今年の有馬記念を前後半に分けて完歩ピッチの推移を見ていきましょう。
前半400mから後半1000mまでの1100mにわたって昨年より遅いピッチで追走しています。そのため昨年よりも速いピッチでラストスパートできてはいるのですが、後続勢に飲み込まれて5着止まり。それは200m毎の平均ストライド長を見れば理由がはっきりわかります。
バックストレッチの終わりとなるL1000m(ラスト1000800m)区間では昨年に近いストライド長となっていましたが、その後はゴールまでストライドが全く伸びていません。脚を頑張って回転させるも地面を蹴る力が大きく失われています。2500mをしっかり走り切れるまでに持って行けていない状態での出走という見方になるかと考えます。調教の本数や強度からしても当然の結果だったと思いますし、一叩きしてこそ、という長距離ホースにありがちなパターンとも言えます。
次はヴェラアズールについて。2022京都大賞典、2022ジャパンカップと前半1200mでの完歩ピッチを比べてみましょう。
2走との大きな違いはスタートダッシュのリズムのまま前半300mまで走っていることです。前半200m辺りから鞍上松山弘平騎手が必死に抑え込もうとしているのですが、馬はガッツリと掛かっています。その後も波形の通りスムーズな追走となりませんでした。あれほど暴れながらの走りとなると消耗度は大きかっただろうと推測します。ちなみに2022ジャパンカップでも馬は暴れ気味でしたが完歩ピッチの推移は滑らかになっています。勝因の大きな要素の一つでした。後半1200mでの完歩ピッチのグラフは2コーナーで掛かり気味に行ってしまった東京ダート2100m2021-10-30伊勢佐木特別も加えてみます。
ラスト200mでの完歩ピッチの波形は2021伊勢佐木特別とそっくりです。激しく掛かってラストで失速してしまう典型例となりました。また後半600m辺りから松山弘平騎手が全開で追い始めているのですが、馬はピッチを速めることが全くできません。その一方4コーナーを回ってからのL300200m区間でピッチが速まります。分析記事で書いたようにヴェラアズールはコーナーを回りながら加速するのが非常に難しい馬です。ストライドが大きい馬にありがちな光景でもあります。
芝・ダートでの適性力の違いもさることながら、東京ダート以外のコースではコーナーがタイトでヴェラアズールのようなタイプは能力を発揮しづらい側面が大いにあるのではないかと私は思います。第二のヴェラアズールとなるべく存在がまだ隠れているかもしれません。
タイトルホルダーについては以下のTweetで触れています。
補足として以下の資料を作ってみました。
2022凱旋門賞のラップタイムは1.2秒マイナスして日本式の値にしています。コース形状や馬場差の違いで解釈は難しいのですが、今回はストライドが伸びていない印象がやはりあります。前半700mのラップタイムは昨年の有馬記念が42.16、今年も42.0程度でほぼ同じですが、この前半700mにおける平均ストライド長は昨年が6.84m、今年が6.80m。昨年も5着に終わり良い走りの内容とは言えなかったのですが、その昨年よりも今年はさらに良くなかったと思います。調教の本数は数多かったものの状態としては芳しくなかったと考えます。
上位馬はこちらのTweetを参照してください。
勝者イクイノックスについてはちょっと補足しておきます。2019有馬記念のアーモンドアイと同じ9番枠を引き何か因縁めいているかと感じました。C.ルメール騎手がその時のアーモンドアイを「掛かってしまって」と何度もコメントしているのに、アーモンドアイは「中山が合わない」的な意見を良く目にしますが、当時の記事はこちらにありますのでヒマな時にでも目を通してくださると幸いです。
それでは今回のイクイノックスの前半1000mでの完歩ピッチを、2019有馬記念のアーモンドアイ、そして前述の掛かり気味に行ってしまったヴェラアズールの2021伊勢佐木特別と比較してみましょう
ヴェラアズールのピッチレンジはイクイノックスより遅いのですが、2021伊勢佐木特別では前半500mからピッチの値がイクイノックスと逆転しています。この影響で早々と末脚を失ってしまったわけです。そして2019有馬記念のアーモンドアイの前半500mからのピッチの速まり方はヴェラアズールより大きな物でスパート始動したような形でした。2017日本ダービーでのレイデオロのように、かなりのスローの中を押し上げるのは良いのですが、このヴェラアズールやアーモンドアイのケースは、スローではないペースの中で押し上げてしまっており、そうなるとそのツケが必ず後半にやってきます。
イクイノックスは前走同様しっかりスタートダッシュをさせていきましたが、すぐさまガッツリと抑え込みに入っています。何度か掛かりそうな危ういところがありましたが、何とか制御が効いたのでホッとしました。とはいえ、ペースがグッと緩んだ1コーナーからバックストレッチでは結構掛かっていましたね。緩い流れを走るのはあまり上手ではないです。来年は海外の12F戦をメインに戦っていくのだろうと予想していますが、ペースメーカーが居た方が間違いなく良いタイプだと思います。
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