2020年産馬クラシックロード vol.005
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今回はきさらぎ賞を振り返ってみたいと思います。まずは指数表をご覧ください。
ここ3年は中京芝2000mで行われました。指数はほぼ似たような値ですが、今年はL5、L3指数がともに上回っているのでパフォーマンスレベルとしては最も良い年と言えます。京都芝外1800mで行われた過去年の中から、春のクラシックで好走した2016年サトノダイヤモンドと2012年ワールドエースを例として挙げましたが、その2頭と比べると見劣り感は否めません。サトノダイヤモンドは残り300m辺りからのラストスパートで200m少々しか脚を使っておらず値以上のパフォーマンス。ワールドエースは3歳2月の時点としては異例と言える極めて高いL5、L3指数を叩き出しています。もっとも、この2012、2016年はレベルの高いクラシック戦線であり、今年は既報通り牡馬戦線は少々低調なレースが続いています。このきさらぎ賞も現3歳の各レースとの比較では上位にランクされる内容であり、上位2頭は明らかに抜けた存在でした。その2頭を過去走とともに分析してみましょう。まずは勝ち馬フリームファクシの指数表をご覧ください。
初勝利を上げた2戦目未勝利はかなりのスローなレースとなったので指数は出ていません。L5-3指数でも-19となっているように残り600m地点までの緩い流れのまま。正味ラスト400mほどの勝負でありパフォーマンスレベルの判定は難しいですが、新馬よりはパフォーマンスアップしているとみて良いでしょう。1~2戦目の間隔は約1ヶ月、2~3戦目は約2ヶ月、3~4戦目は約1ヶ月。この時期は1走毎に成長していく馬が多いわけですが、おもしろいことにこのフリームファクシのようにレース間隔が長い方が指数レベルの上昇度が大きくなる傾向にあります。前走1勝クラスとの指数差は僅かですがL5、L3はそれぞれ5、つまり0.5秒速く走っておりパフォーマンスアップしています。その様子は平均完歩ピッチのグラフからも読み取れます。
L5追走指数は1勝クラスが-7、きさらぎ賞が-10。残り1000m通過では1勝クラスの方が0.3秒速く走っている形になりますが、残り1000m通過までの平均完歩ピッチは1勝クラスが0.447秒/完歩、きさらぎ賞が0.445秒/完歩。遅く走ったきさらぎ賞の方が僅かながらも平均完歩ピッチが速くなっています。要は効率の悪い走り。フリームファクシは行きたがるところが凄くあって今回はソロっとゲートを出し前半200mまでは極めて順調に走れていましたが、外からレミージュが迫りガッツリと掛かってしまいました。L1800mからピッチがグンと速くなっているグラフ波形の様子からも、その掛かり具合の様子が読み取れるわけで、こうなると過剰に余力を消耗してしまいます。さすがの川田将雅騎手でも抑えられないほどのパワー感があります。そのため前走比で前半1000mでの効率の悪い走りとなっていました。しかしレース後半、L500mからは前走以上にピッチレンジを速めてゴールまで駆け抜けています。その分L3指数を5上昇できる形となりました。前走では最後の直線、鞍上の川田将雅騎手が100%全開にせず走らせていた雰囲気があったものの、明らかに前走以上の好内容とみて良いでしょう。序盤で行きたがるところがある反面、ラストスパートでは鞍上の指示によく応えています。差し脚比べとなると分が悪いタイプだと思いますが、今後の上級レースでレースペースが上がった際の対応力はかなりありそうです。次は2着オープンファイアの指数表。
新馬ではL5追走指数が-74。古馬2勝クラスで好勝負する先行馬をモデルとした基準値より7.4秒も遅く後半1000m地点を通過するウルトラスローなレースでL3指数は11。こんなペースならリバティアイランドではなくとも、ラスト600mを0.5秒以上速く走る同世代の馬は何頭もいます。それが2戦目アイビーSでは後半1000m地点を新馬戦より5秒近く速く走ってもL3指数は同等。そして今回のきさらぎ賞ではさらに追走ペースを上げてもL3指数はさほど変わらない値。これがディープインパクトのラストクロップ世代の1頭オープンファイアの特徴。ゴール間際でよく追い込んでくるので一見キレがあるような印象を持たれるところがありますが、上級レベルを基準として考えれば端的にスピードが足りません。しかし成長した証でもありますが、レースペースが上がっても変わらぬ末脚を使うところは魅力的。200mの平均ラップがより遅くなる距離延長の舞台でこの特徴的な末脚が生きてくる可能性は十分あると思います。次は全3戦の平均完歩ピッチを見てもらいましょう。
デビューから2戦、テンの200mは14秒オーバーとなるほどスタートダッシュが効かせられなかったのですが、今回は14秒の壁を楽々突破。しかも新馬戦ほど脚を回転させていないわけで明らかなパワーアップ感があります。またL1300~1000m区間は新馬戦よりピッチを遅くしていますが、この300mを新馬戦より約0.8秒速く走れるようになっています。新馬戦の頃と比べ肉体的に大きな変貌を遂げていますね。それなら何故、新馬戦でもラスト600mそれなりに速く走れたかというと、ペースが相当遅かった影響もありますが、このラストでの全開走行というのは草食動物ゆえの本能的な走り。産まれ持った資質に委ねられるところが大きいからだと私は考えます。言い換えればレースに出走できるようになった時点で、既にスピード能力は顕在化しているということ。スピード資質は天性のモノであって、競走馬がキャリアを重ねて強くなっていくという部分は追走能力の向上という点です。
さて、1着フリームファクシとオープンファイアの今回の馬体重は同じ502kg。しかし完歩ピッチのグラフ波形のゾーンがかなり違います。フリームファクシは2000mを総完歩数270.9、平均ストライド長7.38mで走破。オープンファイアのそれは285.5、7.01m。40cm近く平均ストライド長が異なるほど、この2頭のフットワークの質は全く異なります。オープンファイアはいわゆるピッチ走法タイプに分類されるのですが、スプリンターや瞬発力タイプのように地面を蹴る力が強靭な馬とは違い、1完歩毎のキック力が弱く2014年天皇賞・秋を制覇したスピルバーグに代表されるような省エネ走法のタイプです。したがって一気に馬群を切り裂くような脚が使えなくて長い直線でこその馬。この手のタイプは同時にコーナーでの加速能力に乏しいことが多いんですが、今回オープンファイアは1コーナーに突入して残り1600mのハロン棒を3完歩分通過するまで逆手前で走っていたんですね。L1700~1600m区間での完歩ピッチが速くなっているのがその影響なんですが、意外と器用なフットワークをしているかも、という新たな発見もありました。また、ラスト100mでピッチが僅かに速くなっています。残り140m辺りで再度手前を替え、そこからもうひと踏ん張りしてフリームファクシに迫ってからしっかりファイトしています。ここ2戦勝てないまでもなかなか濃い内容の競馬をしており、個人的には将来性に大きな期待を寄せている馬ですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。基本的にこのようなトーンでマガジン「2020年産馬クラシックロード」を書いておりますし、ご希望があれば特定の2020年産馬を分析いたします。ぜひ当マガジンをご購入いただければ幸いです。
2023-02-10 17:35追記
共同通信杯、京都記念のL5指数表を貼っておきます。また同レース過去5年の勝ち馬指数もともに。
l 指数
走破タイムから馬場差、斤量を考慮して算出したいわゆるスピード指数。古馬2勝クラスで上位争いするレベルを基準値80としています。以下の各指数も馬場差、斤量で補正してあります。
l 指数
走破タイムから馬場差、斤量を考慮して算出したいわゆるスピード指数。古馬2勝クラスで上位争いするレベルを基準値80としています。以下の各指数も馬場差、斤量で補正してあります。
l L5追【L5追走指数】
ラスト1000m通過時点での基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのタイム差を10倍した値。
ラスト1000m通過時点での基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのタイム差を10倍した値。
l L5【L5指数】
ラスト1000mでの基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのラップタイム差を10倍した値。
ラスト1000mでの基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのラップタイム差を10倍した値。
l L5-3【L5-3指数】
ラスト1000~600mでの基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのラップタイム差を10倍した値。
ラスト1000~600mでの基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのラップタイム差を10倍した値。
l L3【L3指数】
ラスト600mでの基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのラップタイム差を10倍した値。
ラスト600mでの基準値(古馬2勝クラスで上位争いする先行馬)とのラップタイム差を10倍した値。
この続き: 170文字
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