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Mahmoudの競馬エッセイ vol.041 「中山ダート1200mの謎」

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Mahmoud
2024/1/18 01:33
前半非常にペースが速くなることで有名な中山ダート1200m。昨年の同コースで4戦全て逃げ321回と素晴らしい成績を上げたテイエムトッキュウを題材として中山ダート1200mの謎に迫っていきたいと思います。まずは4戦の走破タイム、公式値の前後半600mのラップタイム、後半600m÷前半600mを書いておきましょう。
2023-01-07 初春S
1:10.4 33.2-37.2 112.05%
2023-03-19 千葉S
1:09.4 33.1-36.3 109.67%

2023-04-09
京葉S
1:10.0 33.7-36.3 107.72%
2023-12-10 カペラS
1:09.3 33.5-35.8 106.87%
前傾率(後半600m÷前半600m)が徐々に低くなっているのでテイエムトッキュウにとっては2023-01-07 初春Sが最も厳しいペース、2023-12-10 カペラSが最も緩いペースとラップタイム上ではそのような判断ができますが、次は前半600mの平均完歩ピッチ推移を比べてみましょう。
0200m、そして300400mで完歩ピッチの値が一段上の波形となっている2023-12-10 カペラSが最も緩いペースで走っていたのは間違いありません。しかし前傾率が2番目だった2023-03-19 千葉Sは100500mで完歩ピッチの値が一段下の波形となっています。完歩ピッチの観点からするとこの2023-03-19 千葉Sが最も前半ペースが厳しかったと判定できますし、2023-01-07 初春Sと2023-04-09 京葉Sはあまり大きな差がない波形に見え、記録されたラップタイムに何かしら影響を与える要因があるんじゃないかと思えます。次は最寄りの気象庁船橋観測所の風速データを見てみましょう。
スタートから3コーナーまでのバックストレッチでは南風なら向かい風、北風なら追い風となります。2023-01-07 初春Sと2023-12-10 カペラSは風が穏やかだったと思われますが2023-04-09 京葉Sは序盤向かい風を受ける形。前半600m33.7という値以上に速かったと考えられ、前傾率は実質もっと高かったと見て良いでしょう。ちなみに開催別の前後半のラップタイム平均値はこちら。過去20年を対象としています。
北風が吹くことの多い1月の1回開催が前傾率は最も高く、南風が吹くケースが多くなる34月の3回開催が前傾率は最も低いですね。この話は以前にもTweetした内容ですが季節による風向との相関関係がハッキリ感じられます。そして風以外にもう一つ大きな要因がこの中山ダート1200mには隠されています。おそらく具体的な数字で説明するのは今回が初めてかもしれません。それでは同じカメラ角度から映された2023-04-09 京葉S以外の3レースのゲート設置位置を比較してみたいと思います。
ゲートの奥にある待避所のロゴ(JRA中山競馬場)とゲートとの位置の関係性は2023-03-19 千葉Sだけが異なっているのがわかるかと思います。つまり2023-03-19 千葉Sのゲートはゴール寄りに設置されていて助走距離が短いのです。この中山ダート1200mのゲート設置位置は基本的に推定助走距離10mのパターンが多くを占めていますが、2023-03-19 千葉Sのような5m以上10m以下というパターンも存在し、困ったことに同日開催日でもレースによって助走距離が異なっているケースがあります。
助走距離は長ければ長いほどスピードに乗ってタイム計測開始地点を通過することになるので、テンの200mのラップタイムが速くなる形となります。スタートから前半600mまで約4m下るコースであることが前半速くなる理由の一つではあるのですが、その下りの勾配率は前半200400m区間において大きくテンの200mの下りの勾配率はそれほど高くなく、その割にはテンの200mのラップタイムが異常に速い理由を言及されたケースはほぼなかったのではないかと思います。ということで冒頭に書いた4レースを通常の5m助走だったらどうなるか、補正したラップタイムは以下の通りとなります。
2023-01-07 初春S
1:10.8 33.6-37.2 110.71%
2023-03-19 千葉S
1:09.5 33.2-36.3 109.34%
2023-04-09 京葉S
1:10.2 33.9-36.3 107.08%
2023-12-10 カペラS
1:09.7 33.9-35.8 105.60%
2023-03-19 千葉Sが最も速い馬場状態で行われましたが、この補正ラップタイムでの前半600mは少し抜けて速いのが実態だったかと思われます。ラップタイムというのは馬場差やコース形状を加味して比較しないとよろしくありませんが、このように助走距離が異なれば単純比較はさらに難しくなってしまいます。アメリカ競馬のように助走距離(Run-Up)が幾ら取られているか日本でも明示すべきですね。
最後に2023-01-05からこの中山ダート1200mでの助走距離がどうだったかまとめてありますのでご覧ください。

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