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Mahmoudの競馬エッセイ vol.024 「2023宝塚記念マニアック的回顧」

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Mahmoud
2023/6/29 18:43
イクイノックスが勝利を飾った今年の宝塚記念をマニアック的視点で振り返ってみたいと思います。ターゲット馬はディープボンド。唯一の2年連続出走馬だったので昨年の走行データと比較しながらここ2年のレース質の違い等を解説していきます。
レースの走破タイムは先頭馬が光電管を通過したタイミングから計測されるので、先日抜群のスタートを切ったモズメイメイが勝った葵Sのようなケースでは他馬の走破タイム、詳しくは前半200mのラップタイムが実際刻んだラップタイムより遅くなってしまうケースが多々あります。昨年の宝塚記念では抜群のスタートを切ったタイトルホルダーがタイム計測の起点となり他の16頭は0.1秒少々出遅れた形となっていました。その一方、今年は複数頭がタイム計測の起点となるような状況だったので、今年と同様のタイミングで昨年もタイム計測がスタートしたと仮定した上でディープボンドのラップタイムを計測し、それを基に平均ストライド長を計算してみました。まずは前半400mL22001800mでの平均完歩ピッチと平均ストライド長を比較してみましょう。
ディープボンドの昨年は天皇賞・春で喰らい付けず作戦ミスとなったのを取り返すようにタイトルホルダーをぴったりマークするような果敢な先行策でしたが、今年はテンの100mで昨年以上にピッチを速めたもののその後は無理せず追走。それでも最初の200mは昨年より0.05秒程度の遅れに過ぎませんでした。この200mでの平均ストライド長は昨年より2.9cmマイナス。ちなみにこのマイナス幅は2200mの走破タイムに換算すると昨年より0.49秒ほど時計の掛かる馬場に相当します。今回ハナを切ったユニコーンライオンは昨年の同レースよりも前半200mは速かったですね。また、他の先行馬も昨年よりスピードに乗っています。そういった状況からディープボンドはごく自然にピッチを緩めていきました。次は前半800mL22001400mまでの区間データ。
ディープボンドはずっとピッチを緩める一方。ミクロ的な視点なら早々とストライド走法に移行しているイメージ。L18001600mではストライドが非常に伸びています。結果、前半800mは昨年より約0.8秒遅い通過。次は前半1400mL2200800mまでの区間データ。
前半1000m地点をディープボンドは先頭から約0.6秒遅れで通過。昨年は約0.9秒遅れでしたが完歩ピッチ推移通り、今年は昨年より随分と遅く追走していました。先頭ユニコーンライオンが引っ張ったペースは前半600mまで昨年より0.1秒弱の遅れでしたが距離が進むにつれ昨年比でどんどん遅くなっています。昨年逃げたパンサラッサは後に天皇賞・秋でイクイノックスと名勝負を演じサウジCを逃げ切った馬であり2番手追走はタイトルホルダー。よくハイペースだったとかスローペースだったとか語られるわけですが、ペースというのは個々の馬の能力や持ち前のスピードレンジ(距離適性)で変動していくわけで、昨年と今年ではレースコントロールしている馬の役者が異なります。今年は後方待機の5頭の内4頭が上位独占しており結果だけを見ればハイペースっぽく感じられる部分がありますが、ペースの厳しさという点では様相がえらく異なります。ディープボンド自身、2コーナーL1400mから3コーナーL800mまでの600m区間、昨年より約1.5秒も遅く走っていました。200m平均0.5秒も遅い中間疾走。この区間の平均完歩ピッチの差は0.0096秒という、秒数にすればホンの僅かな違いではあるものの、実はかなり大きな差でスピードに与える影響度は相当なモノがあります。今年はいわゆる中弛みというペース推移でした。それではゴールまで一気にデータを並べてみましょう。
最初の200m区間以来、昨年と同ラップタイムで走った区間がL800600m11.85で走って平均ストライド長は昨年より0.7cmダウン。テンの200m区間より平均ストライド長に差がないのは、今年の方が追走負荷の少ない状態だったので地面を蹴る力の温存度が今年の方が高かったと考えられるからでしょう。とはいえ、あってないような差に過ぎず昨年より僅かに時計の掛かる馬場状態ですが大差はないと考えて良いでしょう。ディープボンドは昨年よりピッチを速めてラストスパートしており、特にL6000mでは平均ストライド長が断然伸びています。中盤ペースを緩めて追走できたのでそれだけ余力温存度が昨年とは全く異なる状態だったのが明らかになっていて、結果的にL8000mでは昨年より0.9秒も速く走れています。このディープボンドの走りを通して全体像を考えるならば、前半600mまでは確かにペースが速かったものの中盤でグッと緩み、先行勢は緩急が付いた効率の良くないペース推移。後方待機勢は中盤緩んだことによって前方馬群に容易く取りつくことができ、さほど労力を掛けず追走できたのが味方した形と言えるでしょう。3コーナー手前からジェラルディーナが押し上げて行きましたが、馬群全体のペースが緩んでいるからこそ動いた側面があります。さて、この後はもう少しシビアに振り返ってみたいと思います。

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