
ファミコン互換機の製造数は?「SENITON」編【第9回】
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ファミコン互換機を巡る大いなる謎、「互換機はどれくらいの数が作られたのか?」に迫る。今回からはよりディープに、知る人ぞ知る中規模メーカーを追っていきます。連載第9回は「小林通」こと力通科技(Seniton Tech Industry Co., Ltd.)。中国本土では大手と並ぶ知名度を誇ったメーカーです。
今回からは台湾における中規模なファミコン互換機メーカーの実態を探ってみます。大手企業よりさらに資料が限られるため、調査はより難しくなりますが、追えるところまで迫っていきます。
さて何をもって「中規模」と見做すかですが、知名度や出荷状況、製品ラインナップなどを考慮し、以下の3条件に合致するメーカーを「中規模」と見做すことにしました。
①ラインナップは3機種以上。
②製品が3カ国以上に流通している。
③中古品の発見が比較的容易である。
②製品が3カ国以上に流通している。
③中古品の発見が比較的容易である。
この条件に適合するメーカーは多くありません。筆者が知る限り、該当するのは以下の8社くらいです(カッコ内は設立年)。
- 新天堂企業有限公司 [STD] (1986)
- 力通科技實業有限公 [Seniton] (1987)
- 英捷科技股份有限公司 [HiTex] (1988)
- 光特電子股份有限公司 [Goodboy] (1989)
- 宇霖電子股份有限公司 [Bel Sonic] (1987)
- 台灣曉奇股份有限公司 [Megawise] (1989)
- 富士泰有限公司 [Master Games] (1991)
- 耕敏企業股份有限公司 [ARGO] (1993)
このうち後半の四社は台湾発祥ではあるものの、いち早く香港や中国本土に拠点を移しているため、ここでは対象から外します。今回は残りの中から力通科技(Seniton Tech Industry Co., Ltd.)を見ていきましょう。
力通科技は1987年に林銘鍛(M.T.Lin)なる人物が設立したテック玩具メーカーで、数多ある台湾のファミコン互換機メーカーの中でほとんど唯一と言っていい、台南に拠点を置く企業でもありました。そもそも台湾南部発祥のメーカーが珍しく、他は高雄に数社があった程度で、9割以上が台北周辺を拠点としていました。
力通科技は1989年から「SENITON」「小林通」ブランドのファミコン互換機を展開しており、これは台湾、香港、中国本土、韓国などでそこそこ普及しました。同ブランドはしばしば日本語で「セニードン」と表記されますが、これは同社以外のさまざまな互換機にも使われているので、中華互換機マニアなら見覚えがあろうことと思います。
同社の特色のひとつは、ファミコン互換機を売り始めた直後から中国本土に工場を有していたことです。台湾晶技(TXC)や嘉林行/勝天(AARONIX/ZONIC)といった台湾最大手のファミコン互換機メーカーも早い段階(1988年)で中国本土に工場を持っていましたが、力通科技はそれに次ぐ早さだったといえるでしょう。そのためもあってか、中国本土においてSENITON/小林通は大手各社に引けをとらない存在感を放っていました。
SENITON/小林通の互換機は、台湾での製造が中心だった頃の初期モデルと、中国本土での製造が中心になってからの後期モデルに大きく分かれます。初期モデルはファミコン模倣型(SNC-001, 002)およびSongtly DS-100インスパイア型(SNC-003)の二機種だけですが国際的に流通し、中国本土、韓国、香港、マレーシアなどでの販売が確認できます。

SNC-001(ファミコン模倣型)。前面部に15ピンのコントローラポートがふたつある以外、これといった特色はない。
台湾から中国本土に輸入された製品には、政治的な理由で表記を塗りつぶしたものが多くみられる。
SNC-003(II代)。本体の形状は明らかに松玲企業有限公司(Songtly)のDS-100/SY-200型から影響を受けているが、外箱のデザインはPCエンジンのインターフェイスユニットから拝借している。
いっぽう後期モデルは、流通地域が中国本土と旧ソ連圏にほぼ限定されています。機種は十種類近く存在しますが、形状にオリジナリティは乏しく、他社製品と同じ形状のものがほとんどを占めています。ただし市場に広く流通していたのは、その中のごく一握りだけです。
SENITON/小林通に関連する中国本土の企業は少なくとも四つありました。そのうち最初に活動を始めたのが广州市小林通电子有限公司(1988~1999)で、初期モデルにしばしばその名前が記されていることから、力通科技が直接その製造をコントロールしていたものと見られます。しかしながらこの会社は香港企業と本土の基板メーカーが出資して設立したもので、力通科技の所有ではありませんでした。
後期モデルは、また別の中国企業が製造しています。次はそれを見ていきましょう。
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