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ファミコン互換機の製造数は? 「HiTex」編【第10回】

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Unauthorizon
2025/6/4 21:25

ファミコン互換機を巡る大いなる謎、「互換機はどれくらいの数が作られたのか?」に迫る。連載第10回は「HiTex」こと英捷科技股份有限公司(HiTex Technology Inc.)。中堅互換機メーカーながら世界各地で人気を集め、大手さながらの存在感を放っていました。そんな同社の実態とは。

まずはお詫びから。次回予告で「新天堂(STD)を取り上げる」と書きましたが撤回します。ちょっと調べてみると同社製品にはシリアルナンバーがほとんど付与されておらず、また製造台数に結びつく資料も全く残っていませんでした。現状では計測不能と言わざるを得ないので、今回は予定を変更し「HiTex」ブランドで知られる英捷科技股份有限公司(HiTex Technology Inc.)についてお話します。

英捷科技と「小天才」の意外な関係

英捷科技のHT-767型やA-500型は、ファミコン互換機を掘っている人なら何度となく目撃していることでしょう。初期ファミコン互換機の中でもかなりメジャーな製品といえますが、英捷科技がそれらの生みの親がであることは、近年筆者が指摘するまで全く知られていませんでした。なぜならこの企業についての情報がほとんど残されていなかったからです。
HT-767。英捷科技の最初期型にして最もポピュラーなモデル。[画像出典]
円盤型のフォルムが独創的なA-500。[画像出典] 經濟部智慧財產局 全球專利檢索系統
英捷科技の実態についてはほとんど何も分かっていません。はっきりしているのは、1988年に施朝義なる人物が設立したということだけです。施氏はその設立以前、「小天才」シリーズ初期の販売元だった大仁電子に在籍していたようです。1987年12月17日に同社を通してNESカセットのファミコン用変換器を意匠登録申請していることから、それが分かります。
小天才IQ-701 の商品パッケージに掲載された同シリーズのカセット変換器。この意匠を施氏がデザインした。
NES用72ピンカセットをファミコン用60ピンに変換するコンバーターは当時からさまざまなものが発売されていましたが、こうした実用新案があるところを見ると、どこより早く製品化に漕ぎ着けたのは施氏と大仁電子だったのでしょう。
大仁電子での仕事を通して施氏はファミコン互換機市場の急速な拡大を目の当たりにしていたに違いありません。そしてその波に乗るべく独立し、「小天才」と同様の商品を販売すべく英捷科技を設立したものと考えられます。同社最初のファミコン互換機であるHT-767型が小天才IQ-201/501の影響を如実に受けた形状をしているのは、それゆえかもしれません。

小天才IQ-501。前面のボタン配置やカートリッジ挿入口まわりのデザインがHT-767に影響している。

HT-767誕生

英捷科技は1989年5月13日、台湾にてHT-767型のデザイン意匠を登録申請しています。そしてその9日後には、マレーシアで「HiTex」の商標を申請*。なぜまず台湾ではなくマレーシアだったのでしょうか? 推測ですが、台湾では1980年代からマレーシアやタイへの産業移転が盛んだったので、おそらく英捷科技もマレーシアに工場を持っていたのでしょう。
* 申請者はHI-POWER COMPUTER ENTERPRISEというマレーシアの企業。この会社の詳細は不明ですが、英捷科技と極めて密接な関係にあったからこそ、意匠登録の直後に商標申請しているのでしょう。
HT-767型のデザイン意匠。[画像出典] 經濟部智慧財產局 全球專利檢索系統
翌月、英捷科技は台湾でなぜか「HiTex」ではなく「HiJet」という商標を登録申請しています。同社の最末期に用いられたほとんど知名度のないブランド名です。なぜ主力である「HiTex」のほうを登録申請しなかったのでしょうか? 
もしかすると同社にとって本命は最初から海外市場であり、台湾市場は重視していなかったのかもしれません。じっさいHiTexの製品は台湾では比較的後発であるがゆえかそれほど知名度がなく、中古品の出回りも希少です。

中国本土への進出に向けて

HT-767はマレーシア、香港、韓国などでもさまざまなブランドで流通しましたが、最大の成功を収めたのは(例によって)中国本土でした。英捷科技は中国本土において1989年10月8に「HiTex」およびその中国語ブランド「海天使」の商標登録を申請しています。
そしてそれから1週間後には、HT-767のデザイン意匠が中国本土にて登録申請されました。興味深いことに、これを申請したのは英捷科技ではありません。同社に代わって、香港における「小天才」販売の総元締めである東崑有限公司(Smartian Limited)が登録申請を行っています。
東崑は大仁との合併で大仁東崑集團を組織してもいる。台湾晶技が「小天才」から撤退した1995年以降は、同社が「小天才」ブランドを全面的かつ全世界的に取り仕切った。
中国市場において英捷科技は「HiTex」の商標を自社で持つ一方、製品デザインについては東崑に権利を委ねていたわけですが、どうしてこのような権利の分散を行わなければならなかったのでしょうか。

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