BOOKERS

image

Mahmoudの競馬エッセイ vol.002 「距離適性その1」

3
image
Mahmoud
2023/1/31 22:24
前回「スピードとは」という題で書いたので今回は「スタミナ」について書くべきではあるんですが、「スタミナ」という言葉は「スピード」以上にあいまいなところがあります。したがって「スタミナ」を「距離適性」という言葉で表現する方がわかりやすいとも思います。まずはTwitterで何度かUPしたことのある、芝コース10003200mにおける日本レコード200m平均ラップのグラフを見てみましょう。
グラフの白線上に乗っている日本レコードは5つ。
1000m0:53.7 200m平均10.740 カルストンライトオ
1200m1:05.8 200m平均10.967 テイエムスパーダ
1600m1:30.3 200m平均11.288 トロワゼトワル
2400m2:20.6 200m平均11.717 アーモンドアイ
3200m3:12.5 200m平均12.031 キタサンブラック
この5つの200m平均ラップを滑らかに線で繋いだのが白線のグラフです。それぞれコースが違ってコーナーの数も違う他、斤量も違っていたりするのですが、それを個々の能力と馬場の速さで補うようにして意外とバランスが取れている各レコードです。そしてこの白線より上に位置する各距離の日本レコードは馬の能力、斤量、馬場の速さ、ペース等が上手くかみ合えばさらに短縮できて当然といったレコードとなります。いわゆる主要距離の中で唯一白線より上にあるのが芝2000m。グラフ上の推定値は1:55.2。トーセンジョーダンが2011年天皇賞・秋でマークした1:56.1より0.9秒の更新が見込めますが、これがなかなか難しいところ。東京競馬場芝2000mは約3/4周するコースですがスタート後に最もスピードが上がるタイミングの手前からコーナーに突入。序盤速く走ることができないコースです。他場はほとんどが1周するコース。例えば中京競馬場芝2000mはスタート後に1コーナーへ進入するまでの距離が短く、また12コーナーがタイトなためスピードが上げられません。よってそれ相応の力を使っても前半を速く走ることができず走破タイムが遅くなるコースです。芝2000mの日本レコード更新が期待できるコースは新潟競馬場。スタートから最初のコーナーへ突入するまで900m以上もある他、コーナーが2つしかないところは大きな違い。34コーナーはかなりタイトですがコーナーを回り切ってからラストスパートを行っても問題ないほど最後の直線が長いコース。ここで天皇賞・秋を行えば少なくとも1:55秒台は間違いなくマークされることでしょう。
同距離であってもコースの違いで走破タイムは異なってくるとはいえ、基本事項としては施行距離が伸びれば必ず平均ラップが遅くなるということ。1200mから2400mまで200m単位で、各々の施行距離での推定日本レコード200m平均ラップを書いておきましょう。
1200m10.967
1400m11.145
1600m11.288
1800m11.412
2000m11.523
2200m11.624
2400m11.717
スプリンターは200m平均11秒で勝負するタイプ、長距離馬は200m平均12秒辺りのレンジで勝負するタイプ。マイラーと中距離ホースとの違いもそれなりにあります。1600m2000mでは200m平均ラップの差が0.235秒。各々の平均ラップで走り続けると800m進めば5馬身以上もの差が付いてしまいます。ちなみに1978年当時ならこんなデータとなります(12003200m)。
現代と比べ1978年当時の日本レコードは各距離バランスが取れています。何故そんな違いが起きたのか興味深いところです。1976-10-03阪神芝2000mで行われた神戸新聞杯でトウショウボーイが叩き出した1:58.9のレコードは別格でした。
例えば前哨戦となる1800mでの走破タイムから、後に200mを何秒で走れば○○○秒になるから2000mでも勝負になる、といった話をよく聞きますが、昨年の毎日王冠でのサリオスの勝ちタイムを例に単純に計算してみるとこうなります。(斤量は無視します)
1800mの勝ちタイム1:44.1200m平均ラップは11.567。この値に芝1800mと芝2000mの平均ラップの差0.111を足して10倍すると1:56.8。より単純に考えるのならこの距離くらいだと概ね12.7程度を足すと良い塩梅になります。ただ、東京競馬場芝1800m2000mは最初のコーナー形状が異なるため、実際には12.9程度足すといいでしょう。ちなみにこの毎日王冠でのサリオスはラスト200mを私の計測値で11.11。それなら後200mさらに走っても11秒台で走れるんじゃないの?と思いがちですが、まずはそうなりません。このレースでは進路がなくて早い段階で全開スパートできなかったレースであり、脚を余しているように見えた方も多いと思いますが、以下の完歩ピッチのグラフを見てもらいましょう。

この続き: 1,515文字 画像1枚
記事のみで購入
¥500
定期購読マガジンで購入
¥1,000/月
Mahmoudの競馬エッセイ
¥1,000/月

競馬に関連するあらゆることを書いていきます。週1回更新です。


Flag

記事を気に入ったらサポートしよう!

image
X