2020年産馬クラシックロード vol.034
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先日のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSではまるでレースにならなかったAuguste Rodin。Twitterで何度か触れてきましたが、改めて同馬の特徴を解説してみたいと思います。まずは英ダービーと愛ダービーでの完歩ピッチの推移を見ていきましょう。
L1000mまでのレースの中盤部分では0.480秒/完歩程度までピッチを緩めてゆったりと走っています。端的に言えばAuguste Rodinはこのように中盤緩む長距離戦の流れで良さを発揮したタイプです。英ダービーでは一気に脚を使う形にはならず、その分非常に長く末脚を使って快勝しました。一方愛ダービーでは反応が良過ぎたところがありラスト100mは失速傾向。ソフトに走らせてこそという馬でもあるかと思います。次は2歳時の最終戦、直線1600mで行われたヴァーテムフューチュリティトロフィーSからキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSまでの5戦での前半4Fの完歩ピッチの推移を見てみましょう。
ヴァーテムフューチュリティトロフィーSではAuguste Rodin自身の最速ラップタイムは前半2F目の11.95。それがラスト1Fは14.96まで落ち込んでいます。このレースは無謀なハイペースでレースが進み、結果的に最後方を進んだAuguste Rodinが終盤での失速率を最も少なくできたという構図のレース。ラスト100mの完歩ピッチは0.492秒/完歩まで遅くなっているほどでした。全馬バテバテだった状況なら最後方を進んだ馬はバテ方が最もマシになるよね、と解釈してOKという様相でした。そして3歳初戦の英2000ギニー。前半500mまでは何とかなだめられて走っていましたが、500m以降は猛烈ハイペースだったヴァーテムフューチュリティトロフィーSよりピッチが速くなっています。結局付いていけたのは前半1000m辺りまでした。
ヴァーテムフューチュリティトロフィーSは2歳10月のレース。日本でのこの時期の2歳マイル重賞の平均的レベルは古馬1勝クラス上位~2勝クラス下位辺り。英2000ギニーが行われる3歳5月では、3歳トップの戦いになると古馬3勝クラス上位~古馬オープン辺りまでレベルが上昇します。マイル戦での時計なら1秒以上速くなり、この段階からいわゆる距離適性がモノをいう形となっていきます。2歳の内は絶対的能力で適性外の距離で勝ち鞍を上げても、それは徐々に通用しなくなっていきます。前述した中盤グッと緩むレースとなった英ダービーを勝つようなAuguste Rodinみたいなタイプは、当然のことながら引き締まったペースでのマイル適性というのは乏しくなるわけです。言い換えれば道中息を入れるヒマがないレースはAuguste Rodinにとって合わないということ。
キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSでは前半300mからこの5戦の中では最もハイピッチで走っています。この後、前半1000~1100m区間で0.466秒/完歩までピッチを緩めたのを最後にその後はピッチを速めて追走。Auguste Rodinにとって息を入れるヒマがほぼない状態でのレースとなり好戦できる状況とはならなかったと考えられます。かなり重い馬場の影響もあったでしょうが、まるでレースにならなかった最大要因はペースの問題。馬群から離されて最後方ポツンとなる追走なら何とかなった可能性はあったことでしょう。
このAuguste Rodinの特徴、つまりマイル戦のような速い流れが不向きで緩い流れ向きというのは2年前にも同様の馬がいました。同じディープインパクト産駒Snowfallです。英オークスまでの4戦における前半5Fの平均完歩ピッチをご覧ください。
Auguste Rodinとは違ってSnowfallは2歳戦でガンガン先行させていました。この2歳G1戦2つは9着と8着。Auguste RodinもヴァーテムフューチュリティトロフィーSで先行させていたら惨敗していたことでしょう。Snowfallは3歳初戦ムシドラSで超スローの序盤となり快勝後、英オークスでは歴史的なぶっちぎりで圧勝しました。この英オークスでは最遅ピッチ区間が1100~1200m区間の0.441秒/完歩。Snowfalのピッチレンジだと0.430秒/完歩以上緩めて追走できて真価を発揮するというタイプ。父ディープインパクトと同系統のステイヤーであり、Auguste Rodinも似たタイプだろうと考えられます。ミオスタチン遺伝子TT型ディープインパクトの産駒はTT型あるいはCT型。ガンガン流れるマイル戦を得意とするような馬が出現する確率はかなり低いわけで、しかもディープインパクトが後半特化型の長距離馬だった特徴を引き継いでいれば、例え12F戦だったとしても序盤からよく流れるレース展開は合いません。そんなタイプなのがAuguste Rodinだとすれば、2歳時の7~8F戦で3勝2着1回、そしてG1制覇もしたとはいえ、それはあくまでも成長途上での恵まれた形に過ぎず、その一方、英ダービーの勝ち方は実に筋が通る形であり、今回のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSでの走りも筋が通ります。ディープインパクト産駒フィエールマンが凱旋門賞で惨敗したのと同じ構図です。馬場の問題よりもペース推移の要素が甚だしく大きいのです。現3歳がラストクロップとなるディープインパクト産駒ですが、ディープインパクトの正統的な産駒の捉え方が未だに誤解されている雰囲気は大いに感じられるところです。
ペンディングしていたとある馬の評価が明日にでも追記しておきます。今日のところは今週のオープンクラス特別登録馬の指数表のみ掲載しておきます。
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