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2020年産馬クラシックロード vol.030

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Mahmoud
2023/7/3 19:06
今回はラジオNIKKEI賞で3着となったレーベンスティールの分析を行っていきます。新馬でソールオリエンスと僅差のレースを行っていたので走行データをずっと採ってはいたのですが、23戦目の内容的に当マガジンのコンテンツとしてはお蔵入りとしていました。ただ、ラジオNIKKEI賞でレーベンスティールが圧倒的人気に推されていたのでデータだけでもTwitterで紹介しようとグラフを作っていましたが、例のTwitterの騒ぎがありアップすることができずにいました。とはいえL3指数明細表をご覧いただければ推された人気ほどの戦いをする難易度は結構高いと捉えることができたかと思います。
前半脚を使えば後半に影響が出るトレードオフの関係性と、コース適性という面においてレーベンスティールは実に顕著な形で走行データが現れます。それではデビューから3戦を平均完歩ピッチのグラフで解説していきます。まずは前半800mL18001000mまで。
この800mトータルでの平均完歩ピッチは新馬が0.441/完歩、未勝利が0.419/完歩、31勝クラスが0.442/完歩。2戦目の未勝利戦では圧倒的に前半頑張って走っていましたが、当然後半の走りに影響が出ます。要はピッチを速めてスパートできなくなります。それではゴールまでのグラフを繋げてみましょう。
新馬と未勝利、完歩ピッチレンジが相当異なります。ピーク値は0.019/完歩ほど差が出ています。程度の差の違いはあれど全ての馬がこのような形となります。一方、3戦目31勝クラスでは前半800mで新馬より僅かにピッチが遅くなる程度で、さらにそれ以降も新馬よりピッチを遅くして走っていたにもかかわらずラストスパートでのピッチレンジは新馬ほど全く速くなっていませんでした。現にラジオNIKKEI賞でも同走したセオに負けて2着。パフォーマンスが上がっていません。何故そうなったかという要因としては二つ。一つ目は不良発表で相当時計の掛かる馬場状態を苦にしただろうという点。二つ目は右・左回りの巧拙も含めて東京と中山内回りという違い。東京芝の34コーナーは複合コーナーで中間部分はまずまず直線的に走れるコース形態。この中間部分で手前を替える馬が結構います。その一方、中山内回りの34コーナーはずっと一定のコーナー半径で回り続けるコース形態。3コーナーの入り口辺りとなるL800mからレーベンスティールはじわじわとピッチを速めており、コーナーでの加速が堪えたという可能性があります。2戦目未勝利でも前半ピッチを速めていた以上に後半のピッチは遅くなっています。1800mトータルでの平均完歩ピッチは新馬が0.431/完歩、未勝利が0.435/完歩、31勝クラスが0.437/完歩。右・左の巧拙はわかりませんが東京と中山内回りでは差の出る走りとなっていました。次は4戦目の東京31勝クラスもグラフに加えてみましょう。
4戦目の前半800mトータルでの完歩ピッチは0.430/完歩。2戦目ほど速くはありませんが、13戦目よりは前半頑張って走っています。それではゴールまでのグラフを繋げてみましょう。
この4戦目は中間部分でグッと緩めた影響もありラストスパートではピッチがしっかり速くなっています。結果、1800mトータルでの平均完歩ピッチは0.431/完歩と新馬と同等の値。レーベンスティールは中山内回りより東京の方が明らかに適性は高いと考えられるわけです。そして今回のラジオNIKKEI賞の舞台福島芝1800mは東京より中山内回りの方が近いコース形態。戦いにくい条件だったのは確かかと思われます。それではラジオNIKKEI賞の走行データもグラフに加えてみましょう。
2戦目ほどではありませんが前半は2番目に頑張っています。800mトータルでの平均完歩ピッチは0.422/完歩。次は後半も加えてみましょう。
L1300700mとなるバックストレッチ部分では過去最も頑張って走っています。これだと東京での2戦のようなラストスパートでキレる脚を使えることは100%不可能。こういったトレードオフの関係性は絶対的な物です。結果、完歩ピッチのピーク値は2戦目まで僅かに届かず過去ワースト値。それでもキャリア上抜けた走りをしていたのは確かです。1800mトータルでの平均完歩ピッチは0.429/完歩。中山内回りの2戦とは雲泥の差と言えるくらいでした。
さて、どういったレースをすればレーベンスティールが勝てるチャンスがあったのでしょうか。ちなみに2着シルトホルンの後半1000mのレベルを表わすL5指数は+1.3。基準値より秒数にして0.13秒速く走ったと判定としましたが、L1000600mのレベルを表わすL53指数はちょうど0L6000mのレベルを表わすL3指数は1.3で、後半1000m区間の内ラストの600mで力を入れた走り。2番手の馬としてはほぼ理想的なペース配分となるラストスパートであり、後方の馬が差しにくい展開となったことは確かです。この流れをぶち壊すのは自ら動くしかなかったかもしれませんが、実際に走った以上にどこかで頑張ればそのツケが後半必ず付いてきます。レーベンスティール自身、後半1000mからのラップタイムは11.85-11.75-11.70-11.40-11.30程度。この11.8511.75といった区間で仮に0.2秒速く走ってしまうと、その次の区間で限りなく0.2秒ほど遅くなってしまいます。例えば12.20-12.20-12.15-11.40-10.85といったラップタイムを刻んでいたのなら、12.20-12.20の区間で0.2秒速く走れば、それ以降の区間で0.2秒までラップダウンせずに走り切れる可能性が出てきますが、今回のレーベンスティールの後半のラップタイム推移、平均完歩ピッチ推移ではさらに時計を詰めるのはなかなか厳しいところがあります。ゴール前では12着馬とのスピード差が大きかったため勝てるレースを落としたと考えたくなりますが、そのスピード差が生じた要因は12着馬と比べラストスパート始動するまで楽をしていたからこそであるわけです。ラスト200m10.85をマークしても勝てなかった馬だけと比べれば、レーベンスティールのレースぶりは真っ当な形に近い方だと思います。
勝てるチャンスがあるとすれば前半800mまでの走り。2戦目くらいの前半の入りなら位置取りももう少し前、ラップタイムももう少し速くなります。ただ、後半にそのツケが来るのは必然でどこまでレーベンスティールが後半耐えられたかという形。全体的バランスでいうなら今回のレーベンスティールは後半特化型で、鞍上のレース後コメント通りに勝負の分かれ目は前半部分だったのは間違いありません。惜しむらくは34戦目が楽な追走状態のレースになってしまったという点。つまり、しっかり脚を使って位置を取る経験値が足らなかったというのが敗因の最たるところになります。
レーベンスティールの東京4戦目は最後の直線楽に抜け出し5馬身差の圧勝でした。ムチも軽く2回打たれただけだったと思いますが、こういったレースを見ると実質5馬身差どころではないレースぶりと思えてしまいます。実際ラスト2完歩はブレーキを掛けていたのでもうちょっと速くゴールインできたのは確かで、その印象度が今回抜けた人気になった主要因だったと思われますが、鞍上D.レーン騎手の挙動は楽そうに見えてもラスト2完歩まではレーベンスティール自身全開で走っています。余裕ある鞍上の挙動と同じように競走馬自身も余裕を持って走っていたケースは次の例となります。
未勝利戦でのアーモンドアイのL500100m区間、多少上下していますが平坦的な完歩ピッチで走っています。鞍上C.ルメール騎手の細かなサインに反応して全開で踏み込まずに走っているのですが、レーベンスティールは一気にグッと踏み込んで走っています。要はムチなどいらぬ状態です。この2頭の余裕度は全く異なる物となります。このアーモンドアイに全開GOサインが出されたら桜花賞のようにビュンと加速して行けるわけです。次は新馬でのソールオリエンスとの比較。
レーベンスティールの完歩ピッチピーク区間はL400300mですがソールオリエンスはL1000m。僅差の勝負ではありましたが余裕度には差がありました。このアーモンドアイやソールオリエンスとの余裕度の比較論はラップタイムからでは到底解明できません。レース映像から走りにまだ余裕度が隠されていないか見抜く以外手立てはないわけで、それを具現化したのが完歩ピッチの推移となります。
今回レーベンスティールは3着ではあったものの上位2頭とは斤量差があり、前述したようにキャリアハイの走りでした。例年ならさほど目立たないかもしれませんが現3歳牡馬の中では十分悪くない内容。芝1600m以上で日本ダービー時までの現3歳牡馬の指数ランキング(延べ頭数3502頭)の中に、今回のレーベンスティールの指数データを加えてみたのが次の表です。
指数そのものは15位相当ですが、上がり600mのレベルを示すL3指数は少し抜けた値。指数上位44位までの他のL3指数トップは6。前半・後半のトレードオフの関係から走破タイムのレベルを表わす指数が高いとL3指数は基本的に高くなりません。ソールオリエンスの2戦目京成杯が指数73L3指数13ですが、ラジオNIKKEI賞でのレーベンスティールはそれ以上の評価。約6ヵ月遅れでソールオリエンスを超えたような形になります。つまりレーベンスティールは成長曲線のカーブが少々緩やかだったとも言えるわけで、ようやく軌道に乗りつつあるという解釈も成り立つことでしょう。ミオスタチン遺伝子CT型の父リアルスティールとはピッチレンジや反応力がよく似ていて、中距離レンジにおける伸びしろは大いに見込めるのではないかと考えられます。今後は積極的に位置を取りに行く経験を積んでいけば、その伸びしろがしっかり形となって現れてくるのではないかと推測されます。
この後は今週のオープンクラス特別登録馬の指数表を掲載しておきます。

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