2020年産馬クラシックロード vol.039
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今回は好メンバーが揃った札幌2歳Sの振り返りです。戦前に展望記事をアップすることができず申し訳ございませんでした。ただ、指数値そしてオッズ値からセットアップの単勝を買った方は多かったのではないかと想像します。まずは圧勝したセットアップの前走未勝利戦を触れておきましょう。2着馬スパークリシャールともども後半1200mの完歩ピッチの推移をご覧ください。
新馬戦同様ハナを切ったセットアップはL800mからスパート始動を行い、全開スパート区間はL500~400m。最後の直線が長い東京競馬場での差し馬とよく似た形のラストスパートで非常にタフな後半の走り。2着馬スパークリシャールはゴールまでじりじりと差を詰めていたのでもうちょっと早く仕掛けていたらと思いがちになりますが、セットアップより数完歩遅れて仕掛けただけでスパークリシャールもタフな末脚を使っています。それは平均ストライド長の推移を見ればイメージできるでしょう。
スパークリシャールは2コーナーからバックストレッチ区間となるL1200~1000mで最もストライドが伸びていて、L400mからはストライドが狭くなっています。セットアップとの相対的な差で終盤伸びているように錯覚しているのに過ぎず、しっかり脚を使い切った形のラストスパート。全開区間からこれだけ長く頑張って走る経験は調教時にはないスタイル。こちらもキャリア2戦目の若駒としては十分過ぎるほどのタフなスパート戦でした。セットアップより若干遅く始動したことがゴールまで脚を使えた大きなポイント。この仕掛けのタイミングを頭に入れておいてください。次はセットアップの未勝利と札幌2歳Sでの全区間の平均完歩ピッチをご覧ください。
札幌2歳Sでは未勝利よりもピッチを遅くしてスタートダッシュしても楽にハナへ。鞍上横山武史騎手は1コーナーに入った段階で半ば勝ちを意識していたのではないでしょうか。L1500~1200mは未勝利ほどピッチが遅くならず、L1200~900mでようやく未勝利よりピッチが遅くなりました。つまり前走よりペースダウンが緩やかな逃げ。より理想的な逃げのペース配分となっていました。前走以上に序盤が楽だった影響なのかどうかはわかりませんが、スパート始動は前走以上に攻撃的です。今回はL600mから早々と全開スパートに突入。前半を上手く走れていたのでより攻撃的なラストスパートであっても余力は十分。前半800mまでのトータルの平均完歩ピッチは未勝利が0.423秒/完歩、札幌2歳Sが0.425秒/完歩。後半1000mでのトータルの平均完歩ピッチは未勝利が0.426秒/完歩、札幌2歳Sが0.423秒/完歩。前後半のバランスは若干異なるものの、未勝利と基本的に似たようなベクトルのレースをしています。また、より攻撃的なラストスパートという部分は平均ストライド長の推移で感じ取ることができます。
札幌2歳Sで全体的にストライドが狭くなっているのは馬場差の違いによるものですが、未勝利ではL600~400mでストライドが伸び、札幌2歳SではL800~600mでストライドが伸びています。先ほど「頭に入れておいてください」と述べた未勝利での2着馬スパークリシャールの仕掛けのタイミング。同じようにセットアップより仕掛けを若干遅らせても今回はそれでもタフ過ぎるスパート始動。このセットアップのスパート始動に他馬が合わせ打ったならどうなるか、それはレース結果が見事に表現してくれています。実際の完歩ピッチの推移はどうだったか、1~6着馬を比較してみましょう。
グラフ線がたくさんあってわかりにくいとは思いますが、みんなセットアップのスパート始動に合わせ打って、そして早々とピッチが遅くなる方向性になっています。L800mまでセットアップのピッチレベルは6頭中3番目の遅さだったのが、L500mからは最も速いピッチで走る形となっていました。ハナに立って前半最も労力を費やして走ったのがセットアップでしたが、その一方でラストスパートでは最もキレる脚を使っていました。2着パワーホールに4馬身差、3着ギャンブルルームに1.3秒もの大きな差を付けて圧勝した理由が、この走行データから浮かび上がってきます。楽に逃げられたからという次元ではありませんね。
セットアップは前走以上のパフォーマンスだったかと思いましたが、同日の古馬の走りと比較するとセットアップ自身も重い馬場がプラスになったほどではなさそうで、前走より指数は1のみ上昇させたというレベルかと判定しました。他馬はより一層重い馬場を苦にしていたような状況だろうと推測します。キャリアの浅い馬たちですから、これはやむを得ないところがありそうです。それでは2014年からの同レース上位3頭との指数データを比較してみましょう。
セットアップの指数は2018年と並んでここ10年で最高値。各指数値が示す通りトータルバランスが整った、即ち理想的なペース配分で勝利したと言えます。ここで2020年ソダシと後半1200mの完歩ピッチを比較してみましょう。
後半1000m地点の通過レベルを表わすL5追走指数はソダシの方が8大きい値。つまり0.8秒速いペースだったのですが、ソダシもセットアップ同様攻撃的なラストスパートを行っています。前半の速い流れの影響で終盤バタバタになるほど非効率な走りとなっていたので、指数はセットアップより下になってはいるものの、ソダシ自身理想的なペースで走ればもっと指数を上げられる余地はありました。この2頭は2歳9月頭の時点で概ね似たような走力を持っていると考えて問題ないかと思われるので、セットアップも今後十分期待できる馬と見てよさそうです。また、未勝利時点で距離適性を1800~2200mとしましたが下限距離を1600mに修正して良さそうな感じがします。昨年にはいなかった先行してガチンコスパート勝負ができる馬なので、セットアップとともにレースを行い鍛えられる馬の出現が今年は大いに期待できそうです。
1番人気に推されながらも6着となったガイアメンテ。敗因がいろいろと取り沙汰されているようですが、新馬との完歩ピッチの比較から敗因は簡単に浮かび上がってきます。
横を向いていたタイミングでゲートが開き後手を踏んでしまいました。序盤はゆっくりと追走。その後はグッとペースダウンするほどでもなく後半1000m地点までのピッチレンジは新馬とほぼ同様。実際L5追走指数は2レースとも同じマイナス13。新馬ではL1400~400mまでの1000mにわたって、ほぼ一定のピッチでずっと走り続けていました。ある意味実に理想的な走りができていたという証拠。しかし前述のようにセットアップのスパート始動に合わせ打ったため、その分L300mから失速してしまったのはやむを得ない形。要は新馬ではL400mからやっとスパート始動となった厳しさの少ないレースだったので、一気に性質が異なってしまったレースに対応できなかったわけです。入れ込んでいたそうですが、おそらくその影響はなかったと考えて良いでしょう。また、新馬では約15完歩、札幌2歳Sでは約9完歩、逆手前で4コーナーを回っていました。札幌競馬場のコーナー半径は大きいのですが、ガイアメンテは長々と同じ手前で走るのが苦手な雰囲気が感じられます。非常にストライドの大きい馬にありがちですがコーナーワークが良くありません。3~4コーナーが複合コーナーとなるコースでは上手く走ってくることになるだろうと思われますが、ギュンとピッチを速めてスパートした際の反動が大きいタイプ。ゾーンに入れて競馬を行うのがかなりピーキーな印象。フットワークのパワー感は別格の物があるだけに今後は陣営の育て方に注目が集まります。この後は他馬について短評を書いておきます。
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