重賞レースと新馬を比べるのはあまり妥当ではありませんが、サリエラの新馬は2歳11月としてはなかなかの好内容。とはいっても私の指数上では当然サリオスのサウジアラビアRCの方がマイル換算で1.2秒速いレベル。ラスト1000mのラップタイムを指数化したL5指数は同等、ラスト600mのラップタイムを指数化したL3指数はサリオスが約0.6秒速く、ラスト1000mが同ラップながらもラスト600m地点ではサリオスが0.6秒遅れを取っていてラスト600mで追い付いた形です。こういったラップタイム推移は各々のレースの流れによって左右されますが、この2頭の比較ではサリオスがラスト600m特化型で駆け抜けています。それは平均完歩ピッチのグラフ形状でもわかるようにサリオスの波形は角度が急な形となっています。サリエラはもっとスローな流れでサリオスのようにラスト600m特化型で走れば完歩ピッチの値は速くなりそうに思えてしまいますが、実は全4戦、この新馬でのL500~400mの値がキャリアハイとなっています。そしてこの2レース時、サリオスの馬体重が540kgに対しサリエラは424kg。100kg以上馬体重に差がありながらもサリオスの方がピッチは速いんですね。この兄と妹、フットワークの質が全く異なります。サリオスは典型的なピッチタイプの馬であり、完歩ピッチの値がグンと速くなったL400~200m区間の平均ストライド長は前後の区間より少し短くなっていて、いかにも瞬発力の良さが特徴というのが現れています。このサウジアラビアRCでは後ろに位置していたクラヴァシュドールに一旦少し前に出られてから差し返すという展開で、その構図を見る限りエンジンの掛かりが遅いと見られていたようですが、それは正しくない捉え方。平均完歩ピッチの波形通りにL400mから一気にピッチを速めて最速完歩ピッチ区間はL300~200m。クラヴァシュドールが単にひと足早くスピードに乗っただけのことであって、トップスピードはサリオスの方が優っていました。後の一般的なサリオス評というのは、その正しくない捉え方がベースとなってしまったので現実の走りとの乖離差が生じていたのではないかと私は思います。