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Mahmoudの競馬エッセイ vol.026 「超巨大馬ドンフランキーのフットワーク」

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Mahmoud
2023/7/17 22:53
先日のプロキオンSを快勝したドンフランキーの馬体重は594kgJRA重賞最高馬体重での勝利となったわけですが、本当に大きな馬ですね。このプロキオンSでクビ差まで迫ったリメイクも馬体重は490kgと平均馬体重以上の体をしていますが、ドンフランキーと馬体を併せたシーンを見る限り、このリメイクでさえ小さく見えるほどでした。実にド迫力の馬体です。そんなドンフランキーがデビューした新馬は2021-06-26阪神芝1400m戦。その翌日にはドンフランキーと好対照となるJRA最少馬体重優勝記録を持つメロディーレーンが宝塚記念に出走。そしてこの2頭は阪神芝内回りコースの後半1000mをドンフランキーが59.5、メロディーレーンが59.6とほぼ似たようなラップタイムで走っており、走りの質を比較する上で格好のモデルケースとなっていました。というわけで後半1000mでの平均完歩ピッチと平均ストライド長を比較してみましょう。
1000mトータルのラップタイムは似ていてもペース推移が全く異なり、ドンフランキーはL1000800m13秒オーバーとなる一方、ラスト200m11秒を僅かに切る程度のラップタイムで駆け抜けており、緩急の差が大きいラップタイム推移。また、前半400m24.9程度で走ってからの1000mとなったドンフランキーに対し、前半1200m200m平均12.2で走ってからの1000mとなったメロディーレーンの方が余力は削られており、ドンフランキーの方がストライドをより伸ばせる状況でもありました。結果、この後半1000mにおける平均ストライド長はドンフランキーが7.24m、メロディーレーンが7.12m。ドンフランキーの方がストライド長は約12cm長い結果となりましたが、余力消耗度とスピードが同じ状態で走ればこの差はもっと小さくなります。おそらく差があっても5cmほどになるかなと推測していますが、200kg以上も馬体重の差があるわりにはストライド長の差はほとんど変わらないレベルなんですね。人間で例えるならドンフランキーは体重が100kgあるアスリート、メロディーレーンなら60kgほどとなるアスリート。陸上選手なら身長が2mある選手と170cmに満たない選手くらいの差があって、当然ストライドの長さは違いがあって当然と思われるのですが、ドンフランキーとメロディーレーンはさほど差がないというある意味驚きの結果でもあります。つまりこの2頭はフットワークのメカニズムがまるで異なっていて即ち距離適性の違いがハッキリと現れるのです。ドンフランキーのようなタイプは強い筋力を生かしてピッチを速め、かつ地面を強く蹴り高スピードをマークする走行フォーム。一方メロディーレーンのようなタイプは筋力が強くないためピッチを速めることができず、その分ストライドでカバーする走行フォームですが、地面を蹴る力も強くないため高スピードをマークするのが苦手となります。したがって必然的に平均スピードが遅くなる長距離戦で真価を発揮するステイヤーというのが着地点。メロディーレーンより120kgほど馬体重が重い半弟タイトルホルダーはピッチ走法タイプに分類されますが、地面を蹴る力は強くないためストライドはあまり伸びません。いつも逃げ戦法となるためスタートダッシュが良いと思われがちですが、それは長距離レンジでの戦いだからこそなり得る形です。
簡単にまとめるとスプリンターは速いピッチで走れる馬がほとんど。ほぼ100%がそうだと言っても問題ないくらいです。例えばテンの100m0.380/完歩を切るレンジのピッチをマークする馬はほぼ例外なくスプリンター系となります。ここでドンフランキーの2走前となる京都ダート1200m戦京都グランドオープンと、近年名うてのスプリンターだったモズスーパーフレアの引退レースとなった2021カペラSを比較してみましょう。
テンの100mこそモズスーパーフレアの方がピッチは速いのですが、ドンフランキーも前半100300mL1100900mはモズスーパーフレア以上の猛ピッチで走り2m近く上るL1000800m区間のラップタイムは10.45程度。モズスーパーフレアより100kg重いドンフランキーがここまでピッチを速めて高次元のスピードに到達できるというのはいかにもスプリンターらしい走りそのもの。ドンフランキーは超巨大馬でありながらも鈍重という雰囲気はゼロで高スピードに到達する瞬発力に秀でています。こういった走りの特徴は実際に刻まれたラップタイムでもある程度判別できますが、レースや調教の映像から脚の回転力を認識するのが有効な手段となります。他馬と比較してピッチが速いか遅いかは判別できるかと思いますし、その際のスピードのノリも注視しておくと良いです。例外馬は必ずいますが原則としてピッチがやたら速い馬はスプリンタータイプ、ピッチが遅くスピード感をあまり醸し出さない馬はステイヤータイプ。そしてこういった特徴は産まれ持った不変的なモノとなります。200m平均ラップタイム11.0が芝1200mの戦いの場であるならば、芝2400mなら200m平均ラップタイムは11.8程度。200m進むごとに5馬身差が付くというのが距離カテゴリーの違いとなり、各競走馬のフットワーク質によって適性の合う舞台が異なるのは当然なのです。
さて、この後はプロキオンS2着となったリメイクについても触れておこうかと思います。斤量がドンフランキーより1kg重かったので、その斤量の差が勝ち負けに影響したのは確かですが、ペース推移の観点から勝てるチャンスはゼロだったのか、あるいは勝てたかもしれないのかを少し探ってみましょう。

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