血統、追切、過去映像。レース展開に、脚質・隊列読み。競馬にはいろんなアプローチがある。『絶対はない』と言われる世界で確率を上げようと思ったら使えるものは使うべきだろう。しかしながら、”馬がレースを走る”という本質に目を向けないのはなぜか。名馬と呼ばれる馬の走る姿は皆美しい。しかし、全くとして同じにはならない。ここにこそ、最大のヒントがあるのではないか。そういった思いから走法に目を向けることにした。
最初は全然ハマらない。走法なんて注意して見ても、適性を見抜くまでには至らない。繰り返し、繰り返しの泥臭い作業の中で感覚を養いながら目を鍛えていくと、徐々にわかり始めた。
重馬場も2歳戦も、クラシックも格段に精度が増していく・・・。なるほど、アプローチは間違っていなかった!脚の使い方を見れば馬場適性がわかりやすいし、クビの使い方や身体との連動性を見ていけば距離が持つかどうかも予想が立てやすい。「トビが大きいからあの馬は小回りは合わないよ」なんて上っ面の走法を取り上げられ嫌われている馬も、本質を見抜けば美味しいオッズで買えることもある。何より、馬の動きを見てあれこれ考えるのが楽しい。追切派も馬体派も血統派も、それぞれのファクターに上乗せして+αの根拠が得られるはず。
かといって、この泥臭い作業を一人一人がこなしていくのは至難の業で、教材がなければ今後の発展も見込めないし、走法を見る”目”は多いに越したことはないはず。この記事を読んだ方が少しでも走法に興味を持ち、多くの議論ができるような下地が整えば、発展していく分野であると思っている。そんな思いで執筆に至った。
走法理論の基礎(2021)より