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Mahmoudの競馬エッセイ vol.005 「レースレベル」

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Mahmoud
2023/2/19 22:45
※今回は全編無料公開となっております。

今年のフェブラリーSの結果を受けて「正直、現在のダートマイル戦を主戦とする馬たちは、レモンポップ以外かなりレベルが落ちている」と
Tweetしたのですが、レースレベルというのは各々いろんなモノサシがあると思います。代表的なモノならレーティングですね。「レーティングとは、競走馬の能力を示す客観的な指標となるもので、着差・負担重量などをもとに、国際的に統一された基準により、数値化したもの」と記述されていますが、私なら走破時計が全て。速く走った馬が強いというのが基本スタンス。もちろん馬場状態等の影響により時計が出る出ないといったいろいろな条件があります。そういった条件を加味して算出しているのがいわゆるスピード指数。要は馬場の速さを判定するのが大きなポイントで非常に難しい作業であり、雨や風の影響が大きい際はレース毎に判定します。もう30年ほど出し続けています。芝レースだとペースが遅くて走破時計が遅くならざるを得ないというケースはたくさんありますが、ダート戦だとスローペースで時計が出ないというケースは芝レースに比べてグッと少なくなります。というわけでダート戦のスピード指数を用いてできる限りシンプルにレースレベルというのを考えてみたいと思います。まずは私が算出している指数の概略を簡単に書いておきます。
【指数】
走破タイムと馬場の速さから導き出される、いわゆるスピード指数。指数の値11600m戦における0.1秒に相当する。基準値は80で古馬2勝クラスを勝ち負けできるレベル。
L3指数】
指数80で走破する先行馬のラスト600mのラップタイム平均値(基準値)とのタイム差を10倍にした値。
施行距離が違っても同じ土俵で比較できるのが指数です。それでは2013年からのダート戦における年毎の13着馬の指数平均値を見てもらいましょう。牝馬はセックスアローワンス補正をしています。また、各々の競馬場毎、施行距離に応じて実測値と理論値を鑑みてはじき出した基準タイム(基準値)は全ての年で同一の値を使用しています。まずは3歳未勝利戦と古馬混合戦G1の値です。
2023年は02-12までのデータです。今年は未勝利戦のレベルが低いなあ、と思ってはいけません。32月の時点と9月の時点では強さがまるで違います。レースキャリアを経て強くなるという面もありますが、それ以上に時期的な違いは相当大きいです。新馬戦のように初出走であっても時期的なレベル差というのがあります。例えば26月の新馬と12月の新馬が同じ指数だったら、ほぼ例外なく6月新馬を勝った馬の方が強いです。各々身体的な成長時期のズレは多少あると思いますが、6ヵ月デビュー時期が異なれば別物というほど差があります。ちなみに近年早期デビューの新馬勝ちの中で最も優秀だったのがグランアレグリア。現3歳の新馬勝ち時の指数は年が明けてのデビュー馬も含め、グランアレグリアが6月にマークした指数に並べる馬は未だに1頭もいません。また、この未勝利戦、ピークは6月頃にMAXを迎えます。その頃では1勝クラスと同等レベルの勝ち上がり馬がチラホラ出現します。
本題に戻りまして、20182021年の未勝利戦の平均値は少し下がっていますが2022年は2013年並み。20132022年での最大値と最小値の差は2.81600m戦なら0.28秒差ということになります。G1は施行数が少ないので平均値という観点では妥当な値とはなりませんが、この10年では2013年がトップ、2021年が2位であり、最下級レースと最上級レースを10年スパンで見ると、私が算出している指数の変動はさほど大きなモノではないと感じていただけるかと思います。次は古馬混合戦13勝の各クラス別、古馬混合戦リステッド・オープンを合算、古馬混合戦G2G3を合算したデータです。
12勝クラスでは、ある時を境に指数値が下がっているのがわかるかと思います。そう、20196月より施行された降級制度廃止の影響です。まだ1ヶ月ちょっとしかない2023年は少し持ち直し気味となってはいますが、6月以降のエイジアローワンスの影響で勝ち負けする馬がいない段階。要は昨年より斤量増分強くなった現4歳馬が指数の引き上げにつながっている物と考えられます。また、指数が下がったのが芝レースならその分L3指数が上がっているケースとして考えられる可能性があるものの、このL3指数はこの10年、徐々に低下。上がりの脚が使えなくなっています。末脚のスピードが失われたと解釈するのではなく、末脚を繰り出すための余力が失われつつあるという解釈がおそらく正解。随分以前から自動計測されている坂路調教でのラップ推移の変遷でもわかるように、後半重視という調教スタイルの変化の影響からか、またレーススタイルの変化の影響からか、追走力が年々落ちてきています。いわゆる一般的な解釈となるスピードとスタミナというのは本来相反するモノですから、局所的にスピードを高める方向にシフトすれば、その逆ベクトルとなる部分が衰えていくのは当然の流れかと考えますし、それは実戦においても同様です。
3勝クラスに関しては、降級制度廃止以前からレベル低下傾向にあるというのは指数を自力ではじき出している方なら周知の事実。準オープンというのは昔は響きの良い言葉でしたが、10年前の2勝クラスと現在の3勝クラスはほぼ変わらないレベルとなってしまいました。そういった影響がオープンクラスに波及するのは当然でもありますね。条件馬が勝ち上がっていき、早々とオープン馬として活躍する馬たちと上級レースで互角に戦うためには、現在の条件勝ち上がり制度ではシビアさが足らない印象ですし、やっとオープン入りしても頂上への視界はなかなか開きません。
今回はダート戦を舞台に書いてきました。20年以上前と比べると、芝戦とダート戦の平均ラップの乖離差は大きくなっており、芝とダートの二刀流という難易度は高くなっているはずです。ヴェラアズールやウシュバテソーロのように二刀流というのではなく逆路線でこそ真価を発揮できたというケースがあり、芝とダートを同一視して考えるのはより難しくなってはいます。ただ、芝戦特有のペース的な問題で今回のようにハッキリとわかる指数データとはなりませんが、芝戦でもダート同様のレベル推移というのは同様に起きていると見受けられます。私のモノサシ上、年々日本馬が強くなっている兆候は感じられません。
マガジン『Mahmoudの競馬エッセイ』では今回のような話題を始め、いろいろな事柄について書いております。週1回更新で月額1000円となります。ぜひよろしくお願いいたします。触れていく話題について何かリクエストがあればお申し付けくださいませ。

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