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パチファミのような非公認ゲーム機がもっとも売れた国はどこ? 信用に足る統計データは少ないですが、「機種数」を母数とすることで、世界有数の互換機大国がどこなのか、その実像が浮かび上がってきました。前半は10位~6位まで。
「ファミコン互換機などの非公認ゲーム機がもっとも売れた国はどこ?」
たぶん中国とかアメリカとかじゃないの━━と、なんとなくの想像まではできるとしても、具体的なデータに基づいて答えを導き出すのは意外と難しかったりします。海賊版から発展した市場だけに、信頼に足る出荷統計がほとんど見当たらないからです。しかしアノウソライズンのデータベースを利用すれば、「出荷数」は分からないまでも、「機種数」はある程度の正確さをもって算定できます。
機種が多いということは、それだけ売り手たちが需要に対して強気だったということです。だから国・地域ごとの機種数を比較すれば、どの国でどういうものに対してどれくらい需要があったのかを相対的に測ることができます。それは「市場の活発さ」を測るひとつの尺度になるといえるでしょう。というわけで今回から2回にわけて、機種数から見た「互換機大国」がどこなのかを、お伝えしていきましょう。
韓国には他国にはないユニークな形状のファミコン/メガドライブ互換機が多数見られます。多くの国々において、流通する互換機のほとんどは中華圏(中国本土・香港・台湾)で設計~製造されたものでしたが、韓国は違っていて、少なからぬ「国産機」がありました。そこから独自の形状や機能を持つ機種が多数生まれたという点が、市場の大きな特色となっています。
互換機市場の立ち上がりは比較的早く、海賊版ファミコンの初期(1988~1989年)まで遡ります。この時期に韓国ではNESが正式発売されていますが、その裏でさまざまな台湾製互換機が急速に普及し、90年代初期にはSupercomやGoodboyといったブランドが成功を収めました。いっぽうこうした台湾製品の流入に刺激される形で、韓国独自の製品も少しずつ増えていきます。90年代後半になるとむしろ韓国製が主流派となり、MEGA SYSTEMなどいくつかのブランドが勢いを持つようになりました。この頃に韓国特有の形状(カエル型、レーシングカー型など)が一気に増加したようです。
しかし、2000年代半ばまでに韓国市場はほぼ正常化━━つまり海賊版や非正規品のゲーム機に対する需要が急速に失われていきました。要因としては経済成長と、それまで厳しく輸入制限されていた日本のビデオゲームコンテンツが2004年に全面自由化されたことが大きかったようです。そこからファミコン/メガドライブ互換機は目立たない存在になりました。ファミコン関連特許が失効して以降の「ポスト・パテント期」(2003年〜現在)に発売された製品は数えるほどしかなく、それらも大半は中国製のカジュアル志向な懐古的製品をそのままパッケージ化しただけのもにになっています。

韓国の著名な菓子メーカー・ヘテの電子機器部門(ヘテ電子)から発売されたSupercom HC-1000。オリジナルは台湾・嘉霖行(Aaronix)の AX-9900という機種で、韓国では高級志向の機種として注目を集めた。同国で最も有名なファミコン互換機のひとつに数えられる。韓国版NES「COMBOY」を扱っていたヒュンダイは行政に訴えかけてこれを牽制しようとしたが、うまくいかなかったらしい。ヘテ電子はその後PCエンジンの正規ディストリビュータとなり、韓国版PCエンジン「Vistor」を発売するも不振に終わる。そして間もなくゲーム機事業から撤退した。
現在のインドの海賊版/非公認ゲーム機市場は縮小傾向にあり、少なくとも00年代~10年代ほど活発ではなくなっていますが、それでもときおり新製品は登場します。基本的に低価格帯の製品が多く見られる点が特徴といえるでしょう。

Samuraiは1987年からファミコンの正規製造販売代理業者だったが、1990年代初頭になると台湾・小天才をラインナップに加え「Samurai Micro Genius」として売り出すなど、非公認互換機を中心に扱うようになった。MItashiも後発ながら同じ道を辿った会社で、スーパーファミコンやメガドライブの公式代理店としてスタートした後、インド最大のファミコン互換機サプライヤーに転身し、躍進を遂げた。
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互換ゲーム機がもっとも栄えた国々 ベスト10(前編)
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