Mahmoudの競馬エッセイ vol.029 「ブローザホーンの走りでわかるステイヤー特性」
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2023-07-16芝2000m戦函館記念で3着となった後、2023-08-05芝2600m戦札幌日経オープンで6馬身差の圧勝を演じたブローザホーンのこの2レースでの走りを題材とし、中距離馬とは異なるステイヤーの特性、別の表現をすれば芝2000m戦と2600m戦はどのように異なっているかを解説していきたいと思います。
3着だった函館記念では道中16頭立ての15番手を追走していた一方、1着となった札幌日経オープンでは14頭立ての3番手を追走していたので、函館記念ではもっと前目の位置に付けていたら勝ち負けできていたのではないかと考えてしまうのはわからなくもありませんが、このブローザホーンの追走スタイルは芝2000m戦と2600m戦の違いをものの見事に表わしていました。過去に何度かTweet等でアップしたことがありますが、まずは芝推定日本レコード200m平均ラップタイムのグラフをご覧ください。
白ラインが芝1200、1600、2400、3200mでの日本レコードを基点として描いた推定日本レコードにおける200m平均ラップタイムの曲線、黄〇印は現在の日本レコードの200m平均ラップタイムとなります。施行距離が伸びれば200m平均ラップタイムは必ず遅くなっていきます。芝2000mと2600mでは推定日本レコードなら0.282秒の差異があり、ブローザホーンが走った函館芝2000mと札幌芝2600mではコース特性の違いにより差異は約0.27秒となります。この2レースの馬場差はほぼ似たレベルであり、函館記念でのレースラップタイムの前半1000mは60.0だったので、札幌日経オープンが函館記念と同レベルのペースとなった際の前半1000mは61.3~4程度と推定できますが、札幌日経オープンでの実際のレースラップタイムの前半1000mは62.3。序盤は先行2頭がガリガリやっていたもののG3とリステッドのクラス格差を考慮しても札幌日経オープンの方が前半1000m通過は緩い流れだった、と結論付けることができます。中距離レンジでは追走が苦しい馬でも2600m戦なら追走が楽になるわけで、距離適性というのは距離が持つ持たないと見る以外にこのような頃合いの良い追走ができるか否かで判断することも十分可能です。次はブローザホーンの函館記念での前半1000m、札幌日経オープンでの前半1300mにおける平均完歩ピッチを比較してみましょう。
鞍上岩田康誠騎手は今回好位置を取ろうとする意識があったようでテンの100mはしっかりダッシュさせていましたが、すんなりと好位置を確保できると見るや否やすぐさま抑えにかかります。100mから完歩ピッチがグッと緩んでいることからもその様子は伺えます。300mまでそれなりにダッシュさせていた函館記念の序盤とは完歩ピッチの推移はえらく様子が異なっており、それでいて函館記念は前半600mを36.9程度で走って後方から2番手の位置取りだった一方、札幌日経オープンは前半600mを37.8程度で走り4番手。冒頭で書いたように函館記念でも前目の位置に付けられたら、というのはたらればにもならない、ほぼ100%不可能なレベルだったのが真相です。これが中距離と長距離レースの質の大きな違いの基本形となります。ちなみにブローザホーンの前半1000m通過は函館記念が61.7で札幌日経オープンは62.9。200m平均ラップタイムは0.24秒の差異となり若干札幌日経オープンの方が速いものの概ね前走と同レベルの前半1000m通過と考えられます。その点を踏まえて後半の走りを見ていきましょう。
完歩ピッチの推移からすると函館記念ではキレる末脚を繰り出せなかったのに対し、札幌日経オープンではギュンとピッチを速めブローザホーンなりに末脚はキレています。後半1000m、600mのラップタイムは函館記念が60.05-35.60、札幌日経オープンが60.60-35.45。L500mまで札幌日経オープンの方が緩いピッチのまま余裕を持って走れているので当然の結果となります。函館記念では200mの最遅ラップタイムは12.45に対し、札幌日経オープンでは12秒後半で走れた区間が都合1200mあり、緩いペースを走ってこそのブローザホーンという同馬の特色がハッキリと浮かび上がりました。これがステイヤーの本質となりますね。同じベクトルで1600mと2000mでも同様の考え方が可能となります。ぜひ参考になさってください。また、位置を取りに行くというのは無理のない形で行うというのが重要。函館記念でのブローザホーンの位置取りは良くなったのは確かでも同馬の特徴を生かしていたのも確かなこと。あれ以上前目に行こうとしていたらその分末脚に影響が出るのは必然で、他馬との相対的な部分のみで考えてもあまり得策ではありません。「あんな位置で競馬をしていたらダメだろう」というレースも実際ありますが、そうしなければならなかったケースも山のようにあります。その辺りの状況をよく考えて騎手の評価を下していくことが建設的だと私は考えます。ちなみにC.ルメール騎手や川田将雅騎手は大多数のレースで無理なく勝てる位置に付け競馬を行っています。至ってスムーズな競馬を心掛けているのがデータ上でも感じ取ることができます。だからこそ好成績を上げている最大要因です。
この後はブローザホーンの全レースのL5指数明細表と見ながら当馬の特徴を改めて解説していく他、この札幌日経オープンのレース全体の質について触れておきます。また、好メンバーとなった札幌記念登録馬の過去10戦L5指数明細表もアップしておきます。
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