Mahmoudの競馬エッセイ vol.013 「マンダリンヒーロー」 2 競馬
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大井競馬所属のマンダリンヒーローが2023-04-08米サンタアニタ競馬場で行われたG1サンタアニタダービーで僅差の2着と好走を見せました。前走大井ダート1800m戦から5.9秒も時計を詰めたと話題になっていましたが、その前走2着となった雲取賞とサンタアニタダービーを振り返ってみたいと思います。
まずは単純に200m1Fを同列として200m毎の個別ラップを見ていきましょう。
2023-02-23 雲取賞
1:54.613.3-13.0-13.2-12.8-12.4-12.4-12.6-12.4-12.5
2023-04-08 サンタアニタダービー
1:49.712.1-11.4-11.6-12.1-12.3-12.1-12.0-12.5-12.6
ダート1800m戦が施行される大井競馬場外回りは最後の直線の長さは386m、サンタアニタ競馬場は274m100m少々違いがあるものの、雲取賞の方が走破タイムは5.9秒も遅いのにラスト400mは逆に雲取賞の方が速いんですね。遅い馬場ならそれなりにラップタイムが遅くなるはずなんですが、このような逆転現象が起きています。そう、このラスト400mのラップタイムはサンタアニタダービーでは最遅区間になっているからですね。
大井競馬場ではゲート設置地点から正規の施行距離がスタートするまでの助走距離はおそらく10mほど。一方アメリカ競馬では助走距離のバリエーションがとても豊かです。今回のサンタアニタ競馬場ダート1800mの助走距離は85feet25.908m。助走距離が長ければ長いほどスピードに乗ってタイム計測開始地点を通過することになるので、テンの200mのラップは速くなります。助走距離10mの大井式計時なら最初の200m12.6程度になります。また1F201.168mなので9F戦は1810.512m。したがってこのサンタアニタダービーの走破タイムを大井式1800m戦に換算すると1:48.57。助走距離が長い分、ハロンをメートルに換算しなくても同列に走破タイムを比べて概ね問題はありません。時計を5.96.0秒縮めたのは間違いないです。
詳しくは後述しますが、馬場の速さは200m辺り0.5秒前後あります。時計を縮めた要因の大部分は馬場の速さの違いです。大井競馬場のダートと米サンタアニタ競馬場のダートは例えるならJRAでの現在のスタンダードな良芝馬場と調教で用いられるウッドチップコースとの違いくらいあります。「ダート」というのは名ばかりで質が全く異なるトラックサーフェスと言えます。そして以前から何度も語ってきた通り、ペースが全く異なり別競技を行っているくらい違いがあります。日本のダートレースは早い段階からペースを落とすのが大変好まれており、雲取賞もペース配分次第でもう少し走破タイムは速くなります。時計を6秒ほど縮めたカラクリはこういった要因があったからなのです。次ではマンダリンヒーローの走りを細かく分析して突っ込んでみましょう。

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Mahmoudの競馬エッセイ vol.013 「マンダリンヒーロー」
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