BOOKERS
※「販売停止」の記事は、定期購読で閲読できます。
パチファミのような非公認ゲーム機がもっとも売れた国はどこ? 信用に足る統計データは少ないですが、「機種数」を母数とすることで、世界有数の互換機大国がどこなのか、その実像が浮かび上がってきました。後半は5位~1位まで。
「ファミコン互換機などの非公認ゲーム機がもっとも売れた国はどこ?」
「機種数」をベースに考えるファミコン互換機大国ランキング。機種数が多いということは、それだけ売り手たちが需要に対して強気だったということであり、販売台数には直結しなくとも「市場の活発さ」を測るひとつの尺度にはなるといえます。
この順位には他ならぬ日本人である筆者も驚きました。
日本はポスト・パテント期(ファミコン関連特許が失効した2003年以降)に開花した非公認互換ゲーム機市場の典型例ですが、もうひとつの典型例であるアメリカ(7位)とは大きく様相が異なります。プラグ・アンド・プレイ型機の人気が圧倒的に高かったアメリカに対し、日本では従来型の据え置き型互換機の人気が最も高く、それが市場の特色のひとつとなっています。
日本には互換機の熱狂的ファンが多くいるわけではありません。それでもこれほど上位に食い込んでいるのは、アーケードにおけるプライズ機の賞品としてファミコン互換機が定番化したことが大きいでしょう。国内流通したファミコン互換機は、実にその2/3以上がプライズ機向けに供給されたものなのです。
これらはほぼ例外なく、きわめて安価な作りの中華製品で、大半のユーザーにとっては「まともなゲーム機」というよりある種の余興的な消費対象になっています。機能/ブランド/製造元などを真剣に気にする人は滅多にいません。だからこそ、パッケージだけを変えてほぼ同じ製品を繰り返し繰り返し販売するという、Y.S.N.やピーナッツクラブなどの商法が成功を収めているわけです。
プライズ向けファミコン互換機のトレンドから外れたところに地盤を築き、一定度の成功を収めた国内メーカーは、おそらくコロンバスサークルだけでしょう。プライズ向け互換機のトレンドは近年ほぼ終息しつつあるので、現在第6位のインドネシアが日本を追い抜く日は、それほど遠くないかもしれません。

プライズ機に置かれたファミコン互換機。日本では見慣れた風景だが、このような需要があるのは世界的にも日本だけである。
※旧ソ連圏はゲーム機市場が国境をまたいで一体化していたため、本記事ではすべての国々を一括して扱います。
旧ソ連圏(特にロシア)市場の特色は、その類まれな継続性にあるといえます。
国民的人気を誇ったファミコン互換機「デンディ」の供給がスタートしたのは1993年。パテント期としてはかなり遅咲きの市場でしたが、すぐに大きく開花しました。その後にやってきたメガドライブ互換機も好調で、低価格化の進んだ90年代末に、その人気は頂点に達します。このように90年代を通して、旧ソ連圏の互換機市場はかなりの規模を維持し続けていました。
通常このようなパテント期の互換機市場は、90年代末~00年代半ばまでにピークアウトしていきます(前回取り上げた韓国、インド、アルゼンチンはいずれもそうでした)。しかし旧ソ連圏、特にロシア市場は違ったのです。「ニューゲーム」や「シンバズ」といった勢いのある新興ブランドに牽引され、メガドライブ互換機の新モデルは00年代半ば以降も続々と登場し続けました。現在に至ってもなお、ファミコン/メガドライブ互換機の新機種を少なからず目にすることができます。
通常このようなパテント期の互換機市場は、90年代末~00年代半ばまでにピークアウトしていきます(前回取り上げた韓国、インド、アルゼンチンはいずれもそうでした)。しかし旧ソ連圏、特にロシア市場は違ったのです。「ニューゲーム」や「シンバズ」といった勢いのある新興ブランドに牽引され、メガドライブ互換機の新モデルは00年代半ば以降も続々と登場し続けました。現在に至ってもなお、ファミコン/メガドライブ互換機の新機種を少なからず目にすることができます。
近年ロシアの一部業者に顕著に見られる傾向として、パッケージだけ変えた同一製品を繰り返し繰り返し送り出すという手口があります。最新映画や最新ゲームの画像を無断使用しまくったパッケージは、もはや中身のファミコン互換機/メガドライブ互換機とはまるで関係ないところに行っていますが、それでもよく売れるのでしょう。そうした互換機がいたるところに満ちあふれています(どれも中身は代わり映えしません)。こうした過剰パッケージ品が、旧ソ連圏の製品数をかなり押し上げているところがあります。とはいえ、それらを除外したとしても日本より上位であることは揺るがないでしょう。
「デンディ」はもともとスティープラー社の商標だったが、すでに失効。その後ニューゲーム社や中国・奇胜隆社などが商標権を主張しているが、事実上「デンディ」の名はもはや誰のものでもない一般名詞と化しているのが現状だ。つまりロシアでは、あらゆるファミコン互換機が「デンディ」となりうるわけである。
※3位以上は有料コンテンツとなります。
この続き:2733文字 / 画像4枚
互換ゲーム機がもっとも栄えた国々 ベスト10(後編)
Unauthorizon
500円