1. 習近平絶対権威の浸食:権力基盤の動揺を示すシグナル
この権力闘争の力学を理解する鍵は、「両定率」と「両保護」という二つの政治スローガンにある。
両定率(二つの確立): 習近平氏の党中央における核心的地位と、習近平思想の指導的地位を「確立」すること。これは習近平個人への絶対的な忠誠を要求する。
両保護(二つの擁護): 党中央の権威と集中統一指導を「擁護」すること。これは中国共産党という体制そのものの維持を目的とする。
注目すべきは、この「両定率」という、習近平氏が最も執着してきた個人崇拝の根幹をなす言葉が、公式文書から消え始めたことである。その兆候は、夏の北戴河会議直後、8月の政治局会議で初めて現れた。当時、多くの外部観察者はこれを重要でない変化と見過ごしたが、今にして思えば、それは反習近平派による攻勢開始の狼煙であり、後から振り返って初めてその意味がわかる衝撃的な一撃であった。
そして11月18日の政治局会議の公式広報文において、この変化は決定的となる。「両定率」は完全に姿を消し、「両保護」のみが残された。