川田将雅騎手は本当に不調なのか|腕が落ちたのか、乗る馬が変わったのか|タイガーAI
川田将雅騎手の勝率は、30.3%から22.0%に落ちました。重賞は3月21日を最後に30戦0勝。10月4日の京都大賞典も、1番人気のダノンシーマで9着です。Xには「最近の川田なんでこんなに絶不調なんすかね…」という投稿が並んでいます。
それでも今年の3着以内率は53.7%で、同じオッズの馬の平均とぴったり同じです。落ちたのは腕なのか、乗っている馬なのか。2016年からの成績で分けました。
・勝率が落ちた時期は、世間の言う「最近」ではない
・いちばん乗っている厩舎の人気馬が、3年で132回から73回に減った
・ある馬主の人気馬に乗る割合が、15%から5%になった
・13回乗って7勝していた厩舎で、今年は1回しか乗っていない
・その馬たちは、ひとりの騎手にいちばん多く回っている
・前に乗っていた馬に先着される率が、31%から53%に上がった
・単勝と複勝、いま買えるのはどちらか
最後に、ネットで「栗東で干された」と噂されてきた荻野極騎手の話も付けました。噂の裏は取れていません。数字で分かるのは、乗る馬が減った時期と、20勝、40勝、60勝と伸びた理由です。
数字はJRAのレースだけ、どの年も1月から10月4日までで比べます。
勝率は30%から22%へ。下がったのは去年
年 | 騎乗数 | 1着 | 勝率 | 3着以内率 | 平均人気 | 勝利数の順位
2021年 | 406 | 117 | 28.8% | 54.2% | 2.11 | 2位
2022年 | 419 | 118 | 28.2% | 60.6% | 2.07 | 1位
2023年 | 377 | 121 | 32.1% | 59.9% | 1.99 | 1位
2024年 | 366 | 111 | 30.3% | 61.2% | 1.95 | 2位
2025年 | 393 | 89 | 22.6% | 53.7% | 2.18 | 4位
2026年 | 391 | 86 | 22.0% | 53.7% | 2.38 | 4位
2019年から2024年までの6年は、勝率が27〜32%でした。2025年に22.6%へ下がり、2026年は22.0%。この2年はほとんど同じ数字です。「最近不調」と言われていますが、去年からずっとこの水準です。
騎乗数は減っていません。2024年の366回に対して2026年は391回。乗った日は68日から81日に増えています。
下がったのは平均人気です。2024年の1.95番人気が、2026年は2.38番人気。1番人気に乗る割合は51%から43%になりました。
3着以内には来ている。足りないのは1着
人気馬に乗れば勝率は上がるので、率だけでは腕を比べられません。物差しを2本使います。「差」は、その騎手の3着以内率から、同じ単勝オッズの馬が平均して3着以内に来る率を引いた数字。「勝ち差」は、同じことを勝率でやった数字です。2024年の差は+2.9。同じオッズの馬より、100回あたり3回多く3着以内に来ていた、という意味です。
年 | 差 | 勝ち差 | 単勝100円の戻り | 複勝100円の戻り | 人気以上の着順だった率
2021年 | −0.8 | +4.2 | 106円 | 84円 | 39.9%
2022年 | +4.7 | +2.6 | 85円 | 91円 | 43.7%
2023年 | +2.5 | +5.5 | 92円 | 85円 | 45.1%
2024年 | +2.9 | +3.2 | 82円 | 84円 | 42.9%
2025年 | −2.0 | −2.4 | 75円 | 79円 | 38.2%
2026年 | 0.0 | −1.8 | 66円 | 79円 | 36.6%
2026年の差は0.0。3着以内には、人気どおりに来ています。複勝100円の戻りも79円で、2024年の84円と大きくは変わりません。
勝ち差は違います。2023年+5.5、2024年+3.2と人気以上に勝っていた騎手が、2025年は−2.4、2026年は−1.8。2年続けてマイナスです。2025年と2026年を合わせると、オッズから見込まれる勝ち数は192勝、実際は175勝でした。2019年から2024年は見込み639勝に対して724勝で、見込みより13%多く勝っていました。
1番人気に絞るとはっきりします。勝率は2024年の42.0%から32.9%へ。3着以内率は71.8%から69.5%で、ほぼ動いていません。「1番人気で飛ぶ」ようになったのではなく、「1番人気で2着、3着」が増えました。
単勝100円の戻りは66円。2016年からの11年でいちばん低い数字です。単勝10倍以上の馬には38回乗って0勝。2023年から2025年は64回で6勝していました。
「最近ひどい」の正体は、3月からの重賞30戦0勝
今年の重賞は44回乗って5勝。3月21日までは14戦5勝でした。最後に勝ったのがその日のファルコンステークス(ダイヤモンドノット)。そこから30戦して0勝、3着以内は9回。30戦のうち16戦は3番人気以内の馬でした。
7月からの11戦を並べます。
日付 | レース | 馬 | 人気 | 着順
7月5日 | 北九州記念 | デアヴェローチェ | 2番人気 | 10着
7月19日 | 小倉記念 | ガイアメンテ | 2番人気 | 4着
7月26日 | 東海ステークス | ダノンフィーゴ | 2番人気 | 10着
8月9日 | CBC賞 | ディアナザール | 1番人気 | 9着
8月16日 | 札幌記念 | ショウヘイ | 1番人気 | 7着
8月30日 | 新潟記念 | ダノンシーマ | 1番人気 | 3着
9月6日 | セントウルステークス | ダイヤモンドノット | 4番人気 | 8着
9月12日 | チャレンジカップ | グランヴィノス | 11番人気 | 競走中止
9月13日 | セントライト記念 | バステール | 4番人気 | 13着
9月26日 | シリウスステークス | サイモンザナドゥ | 3番人気 | 10着
10月4日 | 京都大賞典 | ダノンシーマ | 1番人気 | 9着
11戦のうち7戦が1番人気か2番人気で、3着以内は新潟記念の1回だけです。京都大賞典のあとの川田騎手のコメントは「残念です」でした。
重賞以外は様子が違います。同じ7月から10月4日までで134回乗って30勝、3着以内率56.7%。差は+2.9で、人気以上に来ています。
G1は10回乗って0勝、2着2回、3着1回。乗った馬の平均人気は7.0番人気でした。2023年は21回乗って5勝、平均3.9番人気です。
レース | 馬 | 人気 | 着順
フェブラリーステークス | ウィルソンテソーロ | 3番人気 | 2着
高松宮記念 | ママコチャ | 4番人気 | 9着
大阪杯 | ショウヘイ | 4番人気 | 10着
桜花賞 | アイニードユー | 13番人気 | 4着
皐月賞 | バステール | 6番人気 | 11着
天皇賞(春) | エヒト | 11番人気 | 15着
NHKマイルカップ | ダイヤモンドノット | 3番人気 | 5着
ヴィクトリアマイル | カムニャック | 2番人気 | 2着
日本ダービー | バステール | 11番人気 | 3着
宝塚記念 | マイネルエンペラー | 13番人気 | 10着
10回のうち4回が10番人気以下の馬です。勝ち負けになる馬でG1に出た回数が、そもそも少ない年でした。
では、なぜ勝ち負けになる馬が減ったのか。いちばん乗っている厩舎から外されたのか。ある馬主の馬に乗らなくなったのは、いつからか。その馬には、いま誰が乗っているのか。この先で、名前と数字を全部出しています。ネットで言われている噂4つを数字に当てた結果と、馬券での扱い方、ひとりごと(荻野極騎手の勝率が上がった内訳)も入っています。
**
この続き:7073文字
Sponsored Link
もしくは
もしくは