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目次
明日行われる東京新聞杯を厩舎力、近パ、コース特性、人気別成績、出走馬分析の視点からアプローチしたフル展望です。Twitterフォロワーは無料で見ることが出来ますので、課金せずにご覧ください。

<コース特性>

スタートから250m地点まで下りが続き、3コーナーまでの約550mある直線でペースが速くなる傾向あり。3コーナー手前の上り坂で一旦、ペースは落ち着くが、再度下りでコーナーに突入するため、なかなか息を抜くことができない。新馬からG1まで行われ、年間70レースが施行される東京芝のメジャーコースである。枠の優劣は少し外が良い程度。1番人気は全体平均レベルで推移、クラス間の差はそこまで大きくない。逃げ馬はクラスが上がるごとに逃げ残りが厳しくなる典型コースと見て良い。上がり最速馬の馬券率は高く、クラスを問わず重要項目。新馬は先行有利、未勝利、2勝&3勝はフラット、1勝、オープンは差し有利と、クラスによって使い分けが必要。重賞は差し馬から入りたい。騎手はルメール(58%)、川田(45.8%)、戸崎(38.7%)、田辺(34%)、関東所属は戸崎と田辺の2強、東京1400mと同じくルメールの得意舞台と見て間違いない。社台系はノーザンF(39.2%)、社台F(24.8%)、追分F(24.6%)、社台C(23.7%)。厩舎は、S評価が他を圧倒、そこにD評価が加わる形重賞になると完全に「厩舎力コース」と化す。近パとの相性は可もなく不可もなく。クラスアップに伴い、差し馬のシェアが増えるコースで、オープン以上では差し馬を狙うのがセオリー。サウジアラビアRC、アルテミスS、クイーンCなど若駒重賞は適性よりも能力重視、夏前の高速馬場で行われるNHKマイルCはど真ん中の東京マイル適性、同じく高速馬場になりやすいヴィクトリアマイル、安田記念も東京実績が問われるレースになりやすい。一方、2月開催の東京新聞杯は立ち回り勝負になりやすく、ここで求められるのは意外にも中山マイル適性や小回り1800mへの対応力となる。また混戦メンバーになる富士Sは人気落ちのリピーターの復活の舞台。「重賞」によって様々な表情を見せるのが東京マイルの大きな特徴である。

<厩舎力>

2020年 A-A-F 
2021年 D-A-C
2022年 D-S-D

<近走パフォーマンス>

1位 100 ジャスティンカフェ
2位 99 エアロロノア
3位 98 ピンハイ
4位 97 ナミュール
5位 96 タイムトゥヘヴン
6位 95 プレサージュリフト
7位 94 プリンスリターン
8位 93 ピースワンパラディ
9位 92 ウインカーネリアン
10位 90 シュリ

2020年 5位-圏外-1位
2021年 8位-7位-2位
2022年 1位-4位-2位

<近パ妙味馬>

・エアロロノア
・ピースワンパラディ
・ウインカーネリアン
・ファルコニア

<人気別成績>

1番人気 (1-1-2-6)
2番人気 (1-0-2-7)
3番人気 (3-1-1-5)
4番人気 (2-0-2-6)
5番人気 (2-3-2-3)
6番人気 (0-3-0-7)
7~9番人気(1-1-0-28)
10番人気以下(0-1-1-56)

2013年/ 馬連1690円・3連複 3650円(2-5-4)
2014年/ 馬連6710円・3連複12170円(6-3-5)
2015年/馬連14690円・3連複19820円(3-9-1)
2016年/ 馬連4690円・3連複76830円(5-6-11)
2017年/ 馬連3150円・ 3連複1610円(3-5-1)
2018年/ 馬連2450円・ 3連複4630円(3-5-2)
2019年/ 馬連1840円・ 3連複4300円(1-6-4)
2020年/ 馬連7270円・3連複19730円(4-6-5)
2021年/馬連26740円・3連複45560円(5-12-3)
2022年/ 馬連1000円・ 3連複1730円(4-1-2)

<ラップタイム>

2018年 12.4 - 11.4 - 11.6 - 12.2 - 12.4 - 11.1 - 11.0 - 12.0
2019年 12.3 - 10.9 - 11.3 - 11.2 - 11.5 - 11.3 - 11.5 - 11.9
2020年 12.4 - 10.9 - 11.4 - 11.6 - 11.8 - 11.5 - 11.6 - 11.8
2021年 12.3 - 11.2 - 11.4 - 11.7 - 11.5 - 11.2 - 11.6 - 11.5
2022年 12.2 - 11.1 - 11.4 - 11.7 - 11.6 - 11.2 - 11.4 - 11.7

<出走馬分析>

インダストリア(ユニコーンS13着)スタートで後手を踏んで後方からのレース。そこから何とかしようと試みるも結果はなんともならず。「ザ・ダート戦」といえるタフな馬場での根性勝負。ここへの適性が甘かったのでしょう。今回、上位に食い込んだ馬はそれなりに評価すべきですし、惨敗した馬についてはダート適性を今一度、見直してみた方が良いでしょうね。僅か一戦で決めつけは良くないですが、個人的には芝での末脚をもう一度見たいですね。

NHKマイルC5着)これまで最初の3ハロン3536秒台で入っていた馬がいきなりの34.1秒の入り、そこから延々と脚を使わされて、さらにもう一段のギアチェンジを求められるGレース。上手く対応出来たところと戸惑ったところ、それが垣間見えたラスト1ハロンでした。決して弱い馬ではないですし、巻き返すタイミングではあったと思いますが、極限の勝負になった時に「戦ってきた相手の違い」が出たのかもしれません。その点、デイリー杯2歳Sでセリフォス、シンザン記念でマテンロウオリオン、アーリントンCでダノンスコーピオンと対戦してきたカワキタラブリーには上位陣と対戦した経験という強みがあったと思いますね。「決して弱い馬ではないが、人気先行になりやすいタイプ」、「思いのほか信頼しきれないB厩舎」、この二つは頭に入れておきたいです。

(弥生賞5着)左目の横にチークピーシズを当てる特殊馬具を用いてのレース。懸念していた悪癖は4角で出てしまい、かなり膨れてのコーナリングになってしまいました。コーナーを曲がる時の首の使い方や重心の動かし方を見ると急カーブ適性が低いのがよく分かりました。一方で、短い直線、さらに急坂をもろともしない末脚は非常に見どころがあってNHKマイルCで末脚炸裂のイメージが持てました。距離への対応の難しさだけでなく、私は4回のコーナリングの難しさ、こちらの方がだいぶ大きかったなと感じました。当然次走以降は巻き返し必至でしょう。

ウインカーネリアン(マイルCS12着)
スタート前に大きく立ち上がる悪癖発動。何とか出ましたが、いつものような先行策は取れずに馬群競馬。とても良いリズムで来た臨戦にも関わらず、Gの大舞台でこうなってしまうのが「足らなさ」なんですよね。そして直線は進路取りで苦労した他馬に迷惑をかけるバタバタ競馬。スタートからゴールまで終始、慌てふためいた感じでした。それでも、強さの片鱗は見せており、決して弱い馬ではないというのは感じました。メンタル面の課題はあれども、マイルのカテゴリーならこのあとも、重賞を一つ、二つ、勝てるようなそんな気がします。1番人気で受けて立つ側だと不安はありますが、程よい人気なら人馬ともにストレス感じず、しれっと勝ってしまう、そんなシーンは目に浮かびますね。「次走以降の注目馬」として挙げたいと思います。

(関屋記念1着)好スタートを決めて内のシュリを行かせての番手競馬。三浦騎手は安全策を取りやすい騎手で、基本的には無理をしないタイプ。それがGだと裏目に出ることが多いのですが、今回はシュリを楽に行かせてもかわせると踏んだのでしょう。実に落ち着いた騎乗に見えました。ちなみに前半3ハロン36.2秒という新馬戦かと思わせる緩すぎる流れ、それを生み出したのは全く逃げ馬を突かずノンプレッシャーで行かせた三浦騎手だったと私は見ています。直線では自然なタイミングで仕掛けてシュリをかわせば良いという内容。持ち前の前掻きの強さと、力強いフットワークを披露しての完勝となりました。ひと雨降ったのも良かったですし、ノンストレスで先行できたこと、ダメージなくレースを終えれたことなど収穫の多いレースだったと思います。次なる課題は先を見据えた上で、激しいレースを経験すること。ここでしょうね。前で構えてどこまで踏ん張れるかというスタイルなので、絶対的スピード値の高いマイラーと対峙したときにどうなるのかは見もの。マイルCS2、3着のイメージは強いですが、そこを突破できる、さらなる武器を身に付けたときに人馬初のG勝利が見えてくるでしょう。

エアロロノア(京都金杯2着)
スタートを決めた後、枠を生かしてのインピタ競馬。「ザ・福永騎手」と言える素晴らしいペース読みと進路取りでした。流れとしては勝ち競馬でしたが、最後にインをすくわれて2着。イルーシヴパンサーとの差は「ギアチェンジ力」と見て間違いないでしょう。詰めの甘さというか、重賞を勝つための武器を持ち得てないこと、それがこの馬の成績によく表れていると思います。100点の騎乗でしたし、マイルCSでの経験をしっかり生かしての好走。次に繋がる内容なのは確かですが、もどかしさが残る一戦でもありましたね。今回は鞍上の上手さもあったので、そのあたりを頭に入れつつの安定勢力として見ていきたいです。

(マイルCS7着)
間違いなく阪神適性馬と感じさせる走り。レース後、武豊騎手が「決め手があればもっと上位に食い込める」と話したように、この馬の課題はラストのギアチェンジ力。Gなら通用するが、G以上になると厳しくなる、これが以前からの見立てでした。直線ではシュネルマイスターに被せていくブロック作戦を敢行するも、最後はかわされてますからね。極上のギアチェンジをした訳ではないシュネルマイスターに一瞬で置かれたのを見ると、やはり差し馬としてのもう一段のギアが欲しいですね。

(富士S5着)外有利馬場の中、インを突いての5着。上位3頭との力差は歴然で、以前回顧記事で示したようにGレベルとの認識。馬群割という新たな引き出しは得たのは良かったですが、一方で、差し損ねも大いにあるタイプ。今回の着順を見て復調と考えるのは早いですね。私は馬群割が出来る器用さを持っているように見せて実は不器用タイプと思っているので、人気を背負った形で積極的には買いづらいと見ています。そのあたりを押さえておきたいです。

カイザーミノル(京都金杯5着)
単勝100倍の伏兵馬が見せ場十分の追い込みを見せての掲示板。中京マイル戦で穴を開けるのは1400m適性馬というのは私の見立てなのですが、まさにそれを感じる走りでした。全く緩まず、ワンペース競馬になったこと、これが持久力に特化した馬が走りやすかった要因だと思っていて、そこにビシッとマッチしたとの見方です。マイルを走れたというよりも、1400mペースで走れた、これが好走要因かなと。最も適性があるのは阪神1400mだと思うので、もしチャンスがあれば、ですね。前走の謎の大敗を払拭する良い走りだったと思います。


ジャスティンカフェ(マイルCS6着)
枠を生かしての馬群競馬。直線では一頭分開いたところを目掛けて突っ込むも、前をカットされる不利あり。福永騎手が「突き抜けるかと思った。かわすところだけ進路がなかった」と話していたように惜しい敗戦でした。外に回せば、そうした不利は受けないものの、今度は距離ロスという敵が待っていますからね。そのあたりを踏まえて、馬群割を狙ったと思いますが、今回は不運だったなと。馬体派も、走法派も、調教派も、こぞって重い印を打ったのが当馬であり、状態の良さ、馬の造りは間違いなく良かったとのこと。直線での抜群の手ごたえ、それでも、馬券に絡めないのが勝負の難しさであり、レースは生き物と言われる所以と思います。福永騎手は「Gでも勝負になる馬」と高い評価を与えていますし、この後の巻き返しに期待したいですね。

(毎日王冠2着)
後方で構えての外差し一閃。前を行く面々はかなりストレスの掛かる競馬で、勝ち馬も二度詰まっての突き抜け、一方、こちらはノンストレス競馬ですからね。この点は大きな違いと言えるでしょう。先に抜け出して気を抜いたところに猛烈に追い込んできたというイメージなので、負けて強し。ただ依然として追走力への不安はあって、多頭数だとより外を回らされるため、そこは気がかり。今回好走したことで人気をするのは確実ですし、そうなると不利を受けないように外回し競馬をするのは確実。問題はそれで足りるかどうかになってきます。能力もあるし、走法も非常に魅力的、ただし引き出しがない、これが私の現時点での評価です。

(エプソムC4着)上がり最速をマークして4着。見た目には上がり最速を使っていたようには見えませんでしたが、あれだけ後ろに居たら、ということでしょう。とにかく前半ついて行けないのは致命的。重賞だと追走力は重要になるので、この部分は今後もウィークポイントになっていくでしょうね。このメンツで最後脚が止まったように見えましたが、全周パトロールを見るとどうやらノースブリッジに寄られていたようで、あの不利は痛かったですね。ただ馬場の悪いインを突かざるを得ない不器用さ、ここをどう改善するか。飛躍できるかどうかは「追走しながら脚を溜める」、ここにかかっていると思います。どちらにも転ぶタイプですが、現状は「能力あれども課題多し」ですね。

タイムトゥヘヴン(京都金杯7着)
追走力に乏しいため、常に「展開待ち」になる馬。道中14番手で構えて、仕掛けをワンテンポずらしてのイン突き作戦。北村友騎手の狙いがはっきりと見える乗り方でした。ラップは12.4-11.2-11.1-11.3-11.6-11.4-11.8-11.9という最初から最後まで全く緩まない中で、前に行った馬は総崩れ。流れ自体は向いたと思います。ただ、みながこぞって内を狙ったことで前が開かずに詰まってしまったのは誤算でした。とにかくツボの狭い馬なので、どはまりする展開でどうかでしょうね。北村友騎手は「リズムを崩してでも、位置を取りに行くべきだったかも」と話していましたが、決してそんなことはなく。私はこの乗り方で良いと思います。左右問わずの差し競馬、狙いはこの一本です。

(富士S7着)
スピードの絶対値で勝負するタイプではなく、いかに長く良い脚を使えるか、ここで勝負するタイプ。それゆえ、今回のようなレース展開は向かなかったですね。やはりこの馬には中山マイルがしっくりきます。鞍上の福永騎手も、そのあたりには言及していて、レース質が合わなかったと話していました。ピンかパーのところもあるので、人気で積極買いはしたくないですが、ドンピシャではまった時の破壊力はあるので、それがいつ訪れるのか、そこを見極めていきたいです。

シュリ(京都金杯8着)
テンの入りが速く、さらに先行したい馬の中では最も外の枠(6枠)に入ったことで、前に行くのが実質不可能に。よって、自分の形を捨てざるを得ずの6番手競馬。ラップは12.4-11.2-11.1-11.3-11.6-11.4-11.8-11.9、前半34.7秒、後半35.1秒のハイペース、この馬はゆったり入って残すというのが一つの形であり、関屋記念は前半36.1秒という超が付くスローで逃げていました。となれば、今回のレース質は真逆。それでも、直線では一瞬グッと伸びる場面がありましたからね。あそこに私は「単なる逃げ馬ではない部分」を見ました。今年の京都金杯はレースレベルが高いと思っているので、この負けを悲観する必要はないでしょう。自分の形にはまれば、走ってこれる、そういう強みを持った馬だと思います。年齢的な上積みは薄いですが、S厩舎馬を舐めたらダメと感じる、その時がまた訪れるかもしれません。

(関屋記念2着)
先行するのに苦労していた馬が一変。調教派はその変貌をレース前に察知したようで、ほんと見事でした。今回はメンコを着用してのぞんだ一戦で、放牧先でしっかり仕上げてきたとのこと。それがスッと出ての逃げの手を打てた要因でしょう。新潟は東京に比べてギアチェンジ力への要求が低いコース、そう考えるとこの馬にはぴったりなのだと思います。5走前の谷川岳Sでも逃げ切っていましたが、まさにあの再現。あの時も楽逃げを打っていて、前半3ハロンは35.9秒で入っていました。ただし今回はそれよりも遅い36.2秒。ひと雨降って少し力が要る馬場だったとはいえ、これだけ遅ければ残ってしまいますよね。そこに状態の良さも相まってという感じで、完全にどはまりの穴開けでした。一連のレース振りから「ツボの狭いタイプ」との見立てで、特にクラスが上がると走れる条件がかなり狭まるイメージ。一方で、S厩舎らしい確かなバックボーンも持っています。さすがに今回は恵まれすぎたのとドンピシャ感があるのでフロック視したいですが、番手競馬でズルズル後退したゴールデンシロップと比較すると、やはりこちらは地力があるんだなとは感じました。

ナミュール(エリザベス女王杯5着)
適性外レースと見てノータイムで無印にしましたが、やはり地力はありますね。この条件で掲示板に載るとは思わなかったです。横山武騎手は「距離が延びた方が良い」「3~4コーナーで3度ぶつかったのが痛かった」と話していましたが、本当に距離が延びた方が良いですかね。馬場に関しては「良馬場の方が良い」と言っていて、それはうなずけるのですが、距離に関しては意外でした。私はもっとスピード勝負に持って行った方が良いと思っていて、それこそ、走法勉強会で何度も話題に上がっている「左回り巧者」、これだと思うんですよね。陣営が引き続き中距離戦を主戦場にするのか、そこは気になるところですが、来年の最大目標をヴィクトリアマイルとしてローテを組んで欲しいなとは思います。予想以上の走りっぷりに驚きつつも、初の古馬との肉弾戦で消耗しすぎていないか、ここは心配になりました。キレる脚を使うハービンジャー牝馬がこの後、どうなっていくのかは注目。とりあえず、一旦リセットして、ですね。

(秋華賞2着)
僚馬にアタックされて一瞬ひるみましたが、うまく立て直して道中は中団外を追走。「外に出してこそ、当馬の末脚は威力を増す」、私は常々、そう思っていたのですが、横山武騎手の作戦もまさにそれでしたね。内目の枠を引いたことで、被されたら嫌だなと思っていましたが、後ろ過ぎず、前過ぎずの外目追走は上手かったです。4コーナーから外に持ち出して末脚に賭けるも、スタニングローズに残されての2着。惜しい内容でしたが、スターズオンアースを差し返したことや完璧に乗った勝ち馬と1/2馬身差なら、負けて強しと言って良いでしょう。阪神外回りだったら、差していたでしょうし、これはコース適性の差。全く悲観するものではなく、むしろ、大幅体重増によるパワーアップを感じるには十分な内容でした。相変わらず、跳ねるような後肢のバネ感があって、もう一段のギアを持った馬、スタート後、ちょっとしたアクシデントがあってもひるまなかったことなど、ひと夏を越しての成長を感じるレース振りでした。この後、もうワンランク成長出来るか、ここでしょうね。言い方はあれですが、ハービンジャーっぽくない柔らかさを感じる馬なので、その良さが残れば、さらに面白いと思います。

(オークス3着)
後ろ脚の蹴りが強い馬ゆえに内だと加速に手間取ると考えていたこと、距離の壁に跳ね返されると見たことなど、この馬の激走は全く読めませんでした。内で我慢してインを割っての3着。ラスト後続に迫られたのを見ると物足りなさはあるものの、そのあたりは距離適性の差。むしろ、適性外の舞台でここまで走れたのを称えるべきでしょう。ここに照準を合わせてきた高野厩舎のすばらしさ、スタニングローズとの2、3着はまさに厩舎力のなせる業ですね。内で我慢が出来たことや距離延長に対応したことなど評価すべき点はありますが、逆に東京適性の高さを見てしまったのも事実。適性は「マイル前後の東京」だと思うので、そこで狙ってみたいですね。基本的にコーナー4つレースは得意ではないと思います。

ピンハイ(エリザベス女王杯9着)
内枠響いて馬場の悪いところを終始回る形。結果、直線を迎えた時にはすでに余力なしでした。秋華賞を使えなかったこと、これがすべてでしょうね。阪神2200mの重馬場はさすがに堪えたと思いますし、前走の走りを見ると、あのあたりの距離がベストに思えるんですよね。世代を代表する牝馬になれる素質を持ちながら、運に見放された馬。そして、足りない厩舎力。今後も、このジレンマを抱えていきそうな、そんな感じの臨戦過程でした。馬は強いと思うので、それを陣営が引き出せるかでしょう。

(オークス4着)
チューリップ賞でも、桜花賞でも、フロックではないと評しましたが、このオークスも相当強い競馬をしていますね。バテた馬を差しての4着ではなく、しっかり捕えての4着。ここに大きな価値がありますし、捕まえに行くときの全身運動は「本物」のそれ。父ミッキーアイル、厩舎C評価馬とは思えないパフォーマンスでした。あの精神力、体力がどこまで続くか、そこが焦点になりますが、現時点で世代上位のポテンシャルを持っているのは間違いないでしょう。バレた中で指名するのはあれですが、「次走以降の注目馬」としたいと思います。

ファルコニア(マイルCS13着)
果敢にハナを主張。それはそれで良かったと思いますが、次に繋がったかと言われれば微妙。自分の形ではないですからね。せっかくのGだったので、逃げない形を試して欲しかったですが、それは勝負のアヤでもあるので仕方ないところ。特に良かったという部分はなく、逃げたらこうなった、という感じ。どんな条件でも卒なくこなす立ち回り派にとって、純粋に力勝負となる強豪そろいのマイルGは守備範囲外。この負けは度外視して良いでしょう。

(京成杯AH1着)
好スタートを決めて3番手追走。ミッキーブリランテの捲りにも動じずにじっと我慢。前半3ハロン35.5秒のスローの流れで脚を溜めることに成功、直線を向いてすぐ先頭に並びかけた後も集中力を切らさなかったことやスパッと切れる脚を使う後続勢がいなかったこと、これらも追い風となっての重賞初制覇となりました。後ろで溜めると切れ負けするタイプなだけに「好走すれども」を連発していましたが、それらを踏まえての先行策は見事でした。吉田隼騎手も「内枠が欲しかった。スタートを意識した。」と話していましたが、それだけ開幕の内はメリットが大きいのでしょうね。団子状態の4コーナーで、前がバテずにそのままゴール。まさに「立ち回り力」の問われたレースだったと言えるでしょう。精神面の強さも身に付けてよりレースがしやすくなっていますし、当馬に関してはこれまで通り、堅実タイプとして付き合っていくべきですね。

(中京記念3着)
相変わらずの安定感。川田騎手の上手さも抜群で100点満点の騎乗でした。それで足りない、これが当馬のキャラなのだと思います。それ以上でもそれ以下でもなく、良血優等生ディープ産駒、この扱いで良いと思います。今後もキレないがバテない、勝てないが堅実に走る、この扱いで良いでしょう。距離もコースも、それなりに対応できる万能型なので、そういう付き合い方でいきたいですね。

プレサージュリフト(京都金杯3着)
後方待機の大外回し馬が最内枠に入ったことで「相当厳しい」と感じ、S厩舎馬ながら無印にしましたが、そうした不利を何のその。スタートを決めてまさかのインピタ競馬。これぞイーガン騎手!と思わせる見事な騎乗でした。こういうことをテン乗りでしてくるんですから、大したものですし、やっぱり外国人騎手は上手いなとこれはペースセッティングのムルザハマエフ騎手にもそうですが、多くの方が感じたことでしょう。エアロロノアにかわされた後も失速することなく粘って3着を確保していますし、これまでのレース振りを踏まえれば「大幅前進」と言えるもの。一方で「イーガン騎手だから出来た」「斤量の恩恵が大きかった」と見ることもでき、またこの悪条件にも関わらず2番人気だったのを考えると、おそらく次走人気落ちすることはないでしょう。となれば、私は逆の目が出るんじゃないかなと。牝馬限定重賞で上位人気を背負って「あれ!?」というシーンは無きにしも非ずです。今年の京都金杯はハイレベルレースと見ており、当然ながら当馬もその中で走った訳ですが、逆に「はまり過ぎた感」があるので、私は怪しさを感じる一頭として挙げて置きます。色々な意味で次走は注目です。

(秋華賞9着)
能力あれども、ギアの入りが重い、レースが下手。これに尽きますね。ハービンジャー産駒の悪い意味の硬さを感じる馬で、ナミュールのバネ感とは程遠いイメージ。ひと夏を越して、パワーアップしたナミュールに対して、相変わらず、高いポテンシャルを発揮できないもどかしさを感じる当馬。良い馬なんですが、力を出すための条件が多すぎる。これが変わっていなかったですね。フレッシュな状態でこんな感じだと「対応力」に期待するのではなく、どはまりする条件を待つ感じかなと。自力より他力のイメージですね。

(オークス5着)
行き脚付かずの後方待機馬をスッと出しての6番手競馬。「本番でこれをしてきたか」と思いましたが、結果的には最後脚が溜まらなかった分、伸びあぐねての掲示板。それでも、この馬の持っているものは見えた気がします。ギアが重いためスローになってのパワー勝負向きで、今回のように締まったペースでのスタミナ&スピード問われるレースだと、最後足りなくなるのでしょうね。左回り、スローペース、外枠、パワー勝負など、力あれどもあれこれ注文が付くタイプだと思います。それを打破出来るか、ですね。能力があるが、ツボの狭い不器用タイプと見たいです。

ピースワンパラディ(京都金杯4着)
前走のスタート立ち遅れをしっかり修正しての5~6番手追走。12.4-11.2-11.1-11.3-11.6-11.4-11.8-11.9、前半34.7秒から全く緩まない流れでの差し競馬となり、さらに最後は「もう一段のギアチェンジ力」を問われる展開に。松山騎手は上手く乗っていましたし、力もしっかり出せたと思いますが、それで足りないのは「ギアチェンジ力の差」でしょうね。勝ち馬と比べてスイッチが入った時の加速力に差を感じずにはいられませんでした。どんな展開にも対応できる器用な馬で安定感もあるのですが、「重賞を勝つための武器」、これが足りないんですよね。そこに加えて今年からの斤量増、これもあったかなと。あとは父ジャングルポケットの宿命なのか、ほんともどかしさを感じるラスト1ハロンの攻防でした。総合力で勝負するタイプなので、これからも上手に付き合っていきたいですね。

(富士S6着)
スタート後、両サイドからはさまれてブレーキを踏む痛恨の出だし。あれがすべてでしたね。ああなってしまっては溜めての馬群割しかないのですが、この日の東京は外差し馬場にシフトしている状況。しかも、ラスト3ハロン34.2秒というG級のスピードが求められるレース。まさに3重苦の競馬だったと言えるでしょう。そこに加えて有力3頭がスムーズに運べての差し脚比べですからね。よく6着に来たというのが率直な感想です。当然ながら度外視OKであり、引き続き「次走以降の注目馬」として追いかけたいです。

マテンロウオリオン(京都金杯13着)
スタート後、行く気を見せず、それに呼応するように横山典騎手のポツン発動。前が飛ばす展開だったので上手く捌けばチャンスはあったと思いますが、やる気を見せずの大外ぶん回し。直線ではムチ1発、ラストは流す騎乗、まさに「ノーカウント競馬」ですね。馬の気持ちが乗っていない時は無理に走らせない、これが横山典騎手の信条であり、それが出たと見て良いでしょう。それゆえ、全く気にする必要なし。何事もなかったかのように次走普通に走ってきたりしますので、これで人気が落ちるなら「買うタイミング到来」。個人的にはあと1、2戦凡走した後に展開どはまりの差し脚一閃、あると思います。レース幅が狭く馬群割も微妙なので、人気落としのはまり待ち、これが良いかなと。「次走以降の注目馬」として追いかけます。

(マイルCS10着)
横山典騎手の奥義「最内枠からのインピタ発動」。これまで溜め乗りだったのを馬の成長と共に先行出来るようになり無理なくインで折り合い、ラストは馬群を捌いて抜け出す、まさに横山典劇場なんですが、これを前日のマテンロウレオでしてるんですよね。スワンSでは後方ポツンから大外ぶん回しで脚を余す競馬でしたが、そこから一変してくるだろう、これは私の読みでした。そして、案の定、策を講じてきた訳です。ただし、内馬場が悪すぎました。そして、馬群競馬にフィットせずひるんでしまったこと、これも痛かったです。結果マテンロウレオの再現ならず。それでも、こういう競馬が出来たのは大きな収穫ですし、私はプラスに捉えたいですね。ひとつ噛み合えば、古馬とも対等に戦える馬だと思うので「次走以降の注目馬」として、是非とも押さえておきたいです。

(スワンS7着)
横山典得意のポンツ発動。溜めての大外ぶん回しは、阪神1400mの乗り方とは程遠く、一頭だけレースに参加していませんでした。それで脚を伸ばして7着に来るんですから、むしろ、力はあるなと感じました。馬を壊さないように気持ち優先で走らせたと思いますが、あれを見ると1400mは忙しい感じですね。もっとゆったり流れての末脚勝負になる展開の方が良いでしょう。ただ、上級戦でそういう緩い展開になるのかと言われると微妙。ある程度、1400mの流れについていけないと厳しいので、総合的に考えると今回の走りは「可もなく不可もなく」との見方です。
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