今年の日本ダービーを振り返ってみましょう。個々の馬については順次追記していく予定ですがまずは全体像を簡単に触れておきます。「競馬エッセイ」と重複しますが大局的にはスローの流れだったものの序盤は結構速かったですね。1コーナーに突入してからハナに立った16番枠パクスオトマニカはかなり脚を使っています。前半200~400mは10.7を切るくらいのラップタイムだったように思いますが、鞍上田辺裕信騎手はここでかなり労力を使ったのを当然感じ取っているわけで、2400m戦を走り切る上で必然的にペースを落とし始めます。ごくまれに先頭に立っても突っ走ってしまう馬はいますが、大多数は先頭に立ちさえすればペースダウンは鞍上の意のまま。しかしすぐ後ろの後続勢はペースダウンを遅れて察知するわけで折り合いが難しくなります。今年の天皇賞・春で目一杯吹かせてハナに立ったアフリカンゴールドが早々とペースダウンしようとした光景と根本は同じ状況。通常なら2番手以降はペースダウンしたパクスオトマニカに続く形で追走しそうなものですが、今回はちょっと違いました。パクスオトマニカのペースダウンに対応しきれず折り合いを凄く欠いていた2番手ホウオウビスケッツは、鞍上丸田恭介騎手がどこまで意図していたかはわからないものの、これ幸いとばかりにさらなるペースダウンを図ったとも見て取れました。2コーナーの出口辺りの前半800mから3コーナー序盤の前半1400m=後半1000m地点まで先頭のパクスオトマニカが刻んだラップタイムは公式値12.5-12.4-12.8。かなりの高速度となる馬場ですから十分遅いペースですが、2番手ホウオウビスケッツはさらに輪をかけて同区間を12.9-13.0-13.1で追走。緩いペースで逃げを打つ馬が大きなマージンを築き、実質のレースコントロール馬がドスローで逃げているような形。日本ダービーとしては極めてまれなレース展開になったと言えるでしょう。こうなると位置取りの優位性が生まれる側面はあるものの、前述のように序盤で5番手までの馬は結構脚を使っています。好位置を取るというのは基本的に労力を要すわけで、その影響がラストスパートに現れるというトレードオフの関係性は絶対的な物。見事に勝利したタスティエーラは3~5番手で1コーナーに突入。絶好位を取るために骨身を削ってもいます。その様子をイメージしていただくために昨年の日本ダービーを勝ったドウデュースとともに全区間における200m毎の平均ストライド長をご覧ください。